子供の人間的発達

棚橋啓一著 / 新樹社刊 / 1700円

 

 子どもは、自然や社会、文化、親や周囲の友だちとの「関わり」のなかでヒトから人間に育っていきます。本書は、長年障害児教育や地域の子ども会の活動に携わってきた著者が、その実践の成果を「子どもの人間的発達」としてまとめたものです。


 一人一人の子どものことをよく知り、理解して、正しく関わっていくためには、その子どもの人間としてのしくみや発達がどこまで、どのように進んでいるか、今、何がこの子には必要なのか、など、表面にはっきり現れない内面のことまで含めて、科学的・理論的な眼で把握することがとても重要です。 ── 本文より

 

目次

はじめに

I 発達の基礎にある人間としての素質・特性

1. 人間は「体外情報型」(学習型)の生きもの
  ◆チンパンジーも体外情報型
2. 人間としての「素質」と周囲との関わり
3. 「学ぶ意欲」と「柔軟性」と「多様な連結能力」
4. 柔軟で多様な連結能力の故におかす誤り
5. 選ぶことができる「ゆとり」と「主体性」


II 人間としての発達 ─ 考え方や行動のしかたの質の高まり

1. 発達の道すじ
 (a) 発達 ─ 質の高次化
 (b) ゆとり、笑顔の獲得 ─ 人間らしさの基礎
 (c) いろいろに結びつける力(連結・見通しの能力)
 (d) 「△△だ」と、把握する力、集中する力(一次元の力)
 (e) 「△△でない」─ 否定もできる力
 (f) 「△△ながら□□」「△△であって(同時に)□□」 ─ 二次元的操作の力
   ◆1+1はどうして2になるの?
 (g) 「△△けれども□□」─ 否定を含んで二次元の操作をする力
 (h) 抽象する力
 (i) 論理を操作する力
 (j) 形成期と駆使期

2. 発達の条件
 (a) やる気を起こす条件
 (b) 人間らしい文化と共同の営み

3. 言葉の発達
 (a) 一次元的な言葉
 (b) 「話しことば」と「書きことば」


III 人やものとの「関わりの質」と「関わる力」

1. 一次元的な考え、一次元的な関係
  ◆中学生「息詰まる生活」
2. 二次元的な関係
  ◆自分らしさ
  ◆友だち
  ◆学校とはちがう人がいる
3. 「遊び」と「しごと」
 (a) 「遊び」は、子どもが育つ「ゆりかご」
 (b) 「しごと」が教える <自然・人間>
4. 一人一人の主体性と人間的な深い関わり
 (a) 「聞く」と「聴く」
 (b) 人間的な共感・一体感
5. 一人一人の主体性が育つには
 (a) 役割がもつ
 (b) 相談して決める
 (c) 意見をまとめる
 (d) 自発性を発揮し、力を出す


IV 自主的・自治的な活動のたいせつさ

1. 自分たちで話し合い、計画・運営するのは楽しい
2. 知識や情報を子どもに伝える
3. 主体性、共同、分担などが身についていく
4. 社会的な活動に参加し、力をつける
5. 子どもたちの憧れる「青年指導員」
6. 人間的な集団の活動の発達
  ◆人間的な集団の活動の質的な発達・発展


V 子ども時代から青年、成人期にかけての大きな変化・発達

1. 二次元的なやりとりの活発な場に出会う
2. 自主的・自発的な活動と出会う
3. 他人のこともだいじに考えて行動する力がつく
4. 人と関わり、人を組織する力がつく
5. 社会的な視野の広がりと行動力がつく
  ◆小学生から青年期にかけての質的変化・発達


VI 大人の役割、課題

1. 人間としての行動のしかたを伝える
 (a) 本もの体験のだいじさ
 (b) 大人の行動から吸収する
 (c) 「生命」を伝える
2. 大人が変われば、子どもも変わる
  ◆子どもの話
  ◆父母の話


おわりに
引用、参考の図書、資料