少年少女キャンプ村

キャンプ村の特徴

 少年少女キャンプ村は、NPO法人東京少年少女センターが主催する、小中学生が対象の夏のキャンプです。自治体や企業などが主催する他のキャンプとの最大の違いは、参加する子どもたちが事前に集まって話し合い、内容作りや準備活動を自分たちの手で作り上げていくことです。

 

 それを支えるのは、高校生・青年(大学生など)の「指導員」。"親" "学校の先生" とは違った視点から子どもたちに寄り添い、のびのびと活動できるよう様々な面でサポートします。さらに、父母・おとなのスタッフが、子どもたちとは直接関わらない「縁の下」で活動を支えています。

 

異年齢子ども集団を基礎に

 キャンプ村に参加する子どもたちは、住んでいる地域(市区町村)ごとに「村」という集団を作ります。事前の準備活動、事後のまとめの活動は、村ごとに公民館などの公共施設を利用して行なわれます。地元で練習キャンプやキャンプ技術講習などを行なう地域もあります。

 

 キャンプ当日も、基本的には村単位で生活を作り、事前に計画したプログラムを実行します。村は概ね市区町村に一つですが、小平市と西東京市のように、複数の複数市区の子どもたちが集まって一つの村を作る地域もあります。


40人きょうだい!?

 村の中は、子ども6~8人+指導員2人程度の「班」に分かれ、話し合いや食事作りなどは班を単位に展開されていきます。村や班は、最近すっかり見かけることの少なくなった、小学校低学年から中学生までの「異性・異年齢の子ども集団」になっています。

 

 中学生以上でも上下関係などはありません。指導員も含め、誰でも下の名前や「あだ名」で呼び合い、対等な関係を築きます。班の中は「10人きょうだい」のような雰囲気になります。村全体では「40人きょうだい」といったところでしょうか。

 

 子どもたちは、普段の学校生活などではあまり接することのない「少し年上」「少し年下」の仲間たちときょうだいのような関係を築き、交流することで、様々なことを感じ取り、学んでいきます。高学年・中学生たちは年少の仲間たちに何かを教えたり、指示を出したりといったリーダーシップを、生活作りを通して自然に発揮するようになります。

 

 そして、年少の子たちは、そんな上級生の姿に自然に憧れを抱くようになります。どの村からも毎年のように「来年は班長をやりたい」「中学生になったら○○ちゃんのような村長さんになりたい」といった声が聞こえてきます。


少年少女キャンプ村の目的

  • 自然の中で豊かな生活をつくる力を身につける
  • 仲間とともに生活をつくる力を身につける
  • 地域の多くの仲間に働きかけ、集団をつくる力を身につける

 

少し年上のお兄さん・お姉さん

 ~「指導員」の存在 ~

 このキャンプをより魅力的なものにしているのが、高校生・青年(主に大学生)の「指導員」です。子ども3人あたり1人の割合で指導員がつき、生活を共にしながら、子どもたちの活動を支えます。

 

 指導員は子どもたちと対等に接します。「教える」ことよりも「いっしょに考える」ことを大事にしています。仲間の輪から外れるような行動をとる子がいても、頭ごなしに叱ったり無理に従わせるのではなく、その行動の理由や本人の気持ち、言い分などを丁寧に押さえた上で、じっくりと向き合います。


 どの子も大事にされる班や村の集団を作るために、「子どもたちのいいところを引き出すにはどうしたらいいか?」「お互い認め合える関係をどう作っていくか?」といったことを常に考えています。もちろん、うまくいくときばかりではありませんが、指導員たちのそうした姿勢は、子どもたちとの信頼関係につながっていきます。


生活を通して身につける

 このキャンプは、都会の便利さをキャンプ場に持ち込むオートキャンプとは違って、あえて不便な場所に行き、生活のほとんどを子どもたち自身の『労働』によってつくります。その一見つらそうな労働を、仲間や指導員とともに楽しみながらこなしていくうちに、自分の労働が仲間との関わりの上で重要な意味があることを感じるようになります。

 

 そして、集団の中で自分の役割を果たすことや、仲間と共同で一つのものを作り上げることの楽しさ・大切さを、上からの強制ではなく、体験を通して自然に身に付けていきます。


安心して「自分を出せる」場所

 「家や学校では我慢しなければならないことがいっぱいあって、自分を演じなければならない。このキャンプは遠慮しなくていいから好き」という子がいます。指導員やおとなのスタッフたちのまなざし、子どもたちを包む空気が、キャンプ村を、子どもたちにとって「安心して自分を出せる場所」にしているようです。

 

 過去に参加した多くのお子さんの親御さんから「子どもが変わった」というお話を聞いてきました。「自分に自信がついたようだ」「母を気遣うようなことを言うようになった」「おとなしい子だったのに突然性格が明るくなった」など、変わり方は様々ですが、子どもたちはキャンプから「何か」をつかんで帰ってくるようです。

 

 それは、対等な仲間集団の中で一人の人間として大事にされ、「自分を出す」ことができた経験がもたらす「何か」なのだと思います。