はじめに

 1998年8月、文部省は、2002年度からの完全学校週五日制や学習指導要領の改訂を念頭に、全国子どもプランを発表しました。正に国家プロジェクトとしての包括的な子育ち支援策ですが、この施策の正式名称は、「地域で子どもを育てよう!緊急3ヶ年計画」でした。


 ここで注目されるのは、「地域で」という強調にあります。全国子どもプランは一例ですが、70年代後半から80年代の初頭にかけて以来久々に、近年、改めて「地域」という言葉が子育ち・子育ての世界で躍っています。

 

 一体この背景には何があるのでしょうか?こうした状況の下で育ちつつある子どもたちや、子育てに当たる大人たちに何が起きているのでしょうか?たまたま全国子どもプランを引き合いに出しましたが、子育ち・子育てをめぐる国や自治体の政策動向は近年めまぐるしい状況にあります。本論では、こうした動きと絡めつつ、その点を考察したいと思います。