棚橋先生の話(「別冊・東京の子ども会少年団 Vol.9」収録の「子どもの発達と少年団活動」)にもありますが、社会全体が上から下への命令の流れになっていて、人として当たり前にあった、考える力が無くなってしまった社会状況が歴然とあります。
子どもの意見を聞く、子どもの思いが大切にされない現実の社会のなかで、私たちの活動の中で育てた大切な力は、逆にとても弱いものがあると思うのです。
「就職したくても働き口がない。やっと見つけ働きはじめた職場の倒産。」
「希望の教師になり担任を持つ。問題行動を起こした生徒にもっと寄り添ってやりたいのに、学校の方針で退学処分を言い渡さなければならない。」
「食事を口にしないと言われているおじいさんが、ぼくが口にスプーンを持っていくと食べるんですよ」とうれしそうに話していた青年だったのに、一人一人のお年よりを大切にしたいのに、100人をたった4人の職員で見る老人ホーム。
看護婦さん、保母さんだけではなく、リストラの嵐は青年たちにも遠慮なく、吹き荒れています。せっかく育てた人として大切な力を、より確かなものにするにはどうしたらいいのだろうか、これは私たち大人の責任です。
「愚痴でもいい、そんな青年たちの話をちゃんと聞いてやること。そして同じようにたいへんな職場で働いている先輩として共感しあい、悩み苦しみながら生きている自分を語る、そんな大人たちの輪を少年団の周りに作ることではないか」と改めて思いました。
いま私たち大人も地域や職場で、忙しい生活を強いられていますが、たいへんな時だからこそ、少年団の父母会の活動を大切にし、足立の少年団にできている居場所や、町田のとんぼ少年団の活動(「別冊・東京の子ども会少年団 Vol.8」収録)のような元気の出る活動を地域に作ろうではありませんか。■