アウトドア講座:キャンプで食事をつくる

7.8. ナタの使い方

 マキづくりに欠かせない道具がナタです。ナタも刃物ですから、包丁の項で説明したことがそのままあてはまります。

 

 砥石でといで、よく切れる状態にして使うこと。切れないナタを使うと、必要以上の力でマキをたたいたりすることになり、万一手を滑らせると大けがになります。また、鋭利な刃物での切傷は回復が早いのですが、切れない刃物で切った傷は傷口がつぶれてしまうために治りづらく、雑菌も入りやすくなります。

 

 子どもにナタを使わせるときには、振り下ろすような使い方はさせないようにしましょう。子どもの指や骨は細く柔らかいので、万一のダメージは、ものすごく大きいものになってしまうからです。

 

 マキを割るときには、周囲に注意します。特に、前面にほかの子が来ないように注意しながら行ないます。割りたい木の木口にナタの刃をあて、マキといっしょに平な板のうえにコツンと当てるようにして刃を食い込ませて割ります。キャンプ場で買うマキは適当な長さに切ってあり、割りやすいものが多いので、このやりかたで十分間に合います。これで割れないマキは、割らないで太いまま利用させます。

 

 ナタ目を入れたり、長い枝を短くするのにナタを使わせるのは、中学生以上になってからにしましょう。振り下ろす勢いで手から滑り抜けたり、思いがけず軽く切れて、勢いあまって膝やスネを傷つけないように注意させます。

 

 危険なものは段階を追って、特長や危険性をきちんと理解させながら、ていねいに使い方を覚えさせていくことが必要です。

 


 ナタを使うときには、ナタを握る右手は滑らないように素手で、マキをつかむ左手のほうは、万一に備えて軍手(革手袋ならベスト)をはめさせます。

 

 ナタに関しては、経験からいうと、子どもがケガをするよりも、指導者がケガをする率のほうがはるかに高いように感じます。子どもに神経を取られながらナタを使っていて、結果的に自分の手元への注意がおろそかになり、左手を切ってしまうことが多いのです。

 

 しかも、不用意にたたいてしまう例が多く、ケンを切ったり、重症になることが多くあります。刃物にたいしては、指導者といえども慢心せず、最大の注意を払って利用することが必要です。指導者がケガをすることによって、結果的に子どもたちへのアドバイスもおろそかになるわけですから。