アウトドア講座:キャンプで食事をつくる

6.4. 水の確保 ~いざ!という時のために~

 ふつうのキャンピングでは、あまり必要ないかもしれませんが、いざというときの水の確保についても知っておいきましょう。


★ 水源をさがす

 万が一、山で道に迷って、ビバークしなければならなくなり、水筒に持っていった飲料水も底を突いてしまった。こういうときでも日本国内ならば、水については、それほど心配しなくてもだいじょうぶです。

 

 岩場に囲まれた高山は別にして、それほど標高の高くない山ならば、沢筋を探し、安全を確かめながら少し下ってみましょう。シダやハリブキ、ヤグルマソウなどの湿地性の植物がはえ、足下がグジュグジュしてきた場所を少し掘ると、たいていの場合、涌き水を得ることができます。

 

 汚れた川や沼がそばにある場合には、土がドロドロになっている一つ外側に水面よりも深く穴を掘ると、やがてきれいに濾過された水がにじみ出てきます。

 

 木の葉につく夜露も貴重な水資源です。ポンチョを大きく広げて、葉についた夜露を受けて利用します。

 

 特別に緊急のときを除いて、これらの水は、できるだけ一度沸騰させてから飲用にします。

 

★ 蒸留水をつくる

 泥水しかそばにないときは、折りたたんだハンカチを使って濾過し、さらに時間をおいて、澄んできた上澄みを利用します。濾過剤の詰まったサバイサルストローなども市販されています。

 

 ペットボトルなどを利用して、砂や小石、炭、杉の葉などを使って濾過装置を作ることもできますが、緊急の場合にそこまで手をかけられるものかどうかは疑問です。

 

 こうして得られた水は、あくまでも非常用のもので、ゴミや泥などの汚れの成分はそれなりに除去できるものの、水に溶け込んでしまっている鉱物や毒性のある物質については、煮沸により一定おさえることができるだけで完全に除去することは、できません。

 

 安心な水を得るためには、蒸留水を作ることが一番です。濁り水を入れ、沸騰させたヤカンの口にコップを逆さにかぶせ、コップからしたたり落ちてくる水滴を別のコップに受けます。ヤカンがないときは、ナベでお湯を沸かし、ナベのフタを斜めにかけて、同様に落ちてくる水滴を受けて真水を得ます。

 

 魚を手拭にくるんできつく絞ったときに得られる魚の体液や、生きた動物の血液なども貴重な水分になります。一般のキャンプでそこまで必要になることは、まずあり得ないことですが、一つの知識として知っておきましょう。