1. あそび指導?の特効薬はない!

 ぼくは、児童館の指導員という仕事柄、毎日あそんで暮らしています。小さい子どもたちとは、砂山を作ったり、泥だんごを作ったり、葉っぱや木の実を使ってのままごとあそびやたわいのない鬼ごっこ。低学年の子どもたちとは、高鬼や氷鬼、隠れんぼなどのちょっとルールの発達した遊び。高学年とは、Sけんや王様陣取り、缶けり、ポコペンなど体も知恵も使う遊び。中学生とは、卓球やローラーホッケー・バスケットボールやドッヂボールなど、ボールや道具を使った遊びと、その日、その時間にいる子どもたちによっていろんな遊びとおつき合いさせられる事になります。

 男の子は、年齢に関係なくマットをつかってあそぶのが好きです。プロレスごっこをしたり、体操選手のまねをして前宙(前方宙返り)やバクテン(後方倒立回転)の練習をしたり、マットとマットの間にはさまったり、子犬が絡まるようにじゃれあったりしています。ミニ四駆やラジコンなどのメカを扱う遊びも男の子たちのものです。女の子は、ゴムとびや石けりなどの細かい技を競う遊びが好まれています。一輪車やけん玉などこつこつと練習する遊びもどちらかというと女の子たちの得意とする所になっています。

 同じように紙やダンボールを用意しても男の子は、紙を細く丸めて剣を作り、ダンボールで盾を作って「戦闘ごっこ」に、女の子は、紙でお金を作り、ダンボールでコーナーを作って「お店屋さんごっこ」になります。(主として低学年)

 ざっと俯瞰しただけでも、年齢や性別によって遊びの種類や発展のし方が違っています。これを読んでいるみなさんの頭の中にあるのは、「どうしたら子ども会・少年団のみんなで楽しくあそべるのか」というテーマなのだと思います。小学校低学年から中学生・高校生までいる異年齢のしかも男女混合の集団の全員にとって楽しい遊びなどというものがはたして存在するのでしょうか。

 「遊びの講座」などという文章を読む人は、「みんなであそぶといっても、なにをしていいかよくわからない」「ひとつの遊びをしているとその遊びにのり切れない子から不満がでる」「『みんなであそぼう』と声かけしても『なにやんのー』とか『早くほかのことやろうよ』とかしかたなくあそんでいるよう」「『なにしてあそぶ?』と、問いかけても『べつにー』とか『そっちで決めて』とか意欲がない」というような現実にぶつかって悩んだことがある(現にいま悩んでいる)人たちなのかなと勝手に思いながらワープロをたたいています。そういう人たちには、ちょっと酷な気がしますが、「そういう悩みの特効薬はない」と、とりあえず言っておきたいと思います。