アウトドア講座:キャンプで食事をつくる

7.7. 上手なカマド

 カマドは、なんのために必要なのでしょう。炎の熱量を外に逃がさず、一番効率よく鍋に伝える。風などによる炎のちらばりを防ぎ、安定した火で調理ができるようにする。などが、その目的です。ピッタリしたカマドを作ることで、空気を大量に吸い込む煙突効果も期待できそうです。

 

 したがって、上手なカマドの基準は、鍋にあった形と大きさということになります。


 普通、6~7人の班に必要なカマドの大きさは、高さ30センチぐらい、直径(もちろん内側の)40センチぐらいあればいいことになります。石を利用して組んだり、地面を掘ってカマドを作る場合は、どうしても大きくなりがちなので注意します。

 

 炎のなかで、一番温度が高いのは、炎の先端部分です。だから、鍋の底が炎の先端でくるまれるような高さに作ることがもう一つの条件です。効率よいカマドは、よく燃えるために煙も少なくなり、マキの消費量も少なくてすみ、経済的にも自然にとっても好ましいものになります。

 

★ 条件に合わせて考える

 風があまりないときや、1泊2日程度のキャンプで、食事づくりの回数が少ないときには、わざわざカマドを設営しなくても、岩の陰や斜面、丸太など、自然にあるものを利用して簡単にすますこともできます。雨のときの対策は、前項で述べたとおりです。

 

 長期に滞在するキャンプの場合には、60センチぐらいの台を作り、そのうえに土をひいてカマドを作れば、立ったまま調理ができ、作業がグンと楽になります。風の当たらない場所を選び、屋根がけをすれば、なお一層便利になります。

 

★ カマドには、水をかけない

 食事づくりが終っても、カマドに水をかけたりしては、いけません、カマドに残っているマキは、すべて燃やし尽くすようにします。炭になっている部分を灰でおおうようにしておけば、かなりの時間火種が残ることになり、夜のプログラムのあとに紅茶を沸かしたりすることも楽にできます。

 

 夜寝るときには、屋根がけをするなどして雨や夜露がかからないようにしておきます。夜寝るときに水をかけて火を消さないのは不安なような気もしますが、回りに燃え移らないよう安全な場所を選んでカマドを作ることは初歩的な事項です。

 

★ 後片付け(撤収)は完璧に!

 撤収するときには、完全に灰になるまで燃やしてからカマドを崩します。焼けこげた石は磨いておき、地面は軽くほぐしておきましょう。カマドのあとは、焼けこげた石など、どうしても見苦しくなります。めったやたらにカマドを作らず、前の人たちが使ったカマドのあとを利用して、できるだけキャンプ場を汚さないようにする配慮が必要です。

 

 もちろん、草地などには、絶対にカマドを作ってはなりません。どうしても草地に作る必要がある場合には、草の生えている表土を10~15センチぐらいの厚さで切り取り、乾燥しないように日陰において水やりをしておきます。

 

 撤収のときには再び表土をもとの位置に戻し、十分に水をやって、植物を守ってあげましょう。雑草といっても、人間の目からみて雑草なのであって、その土地にとっては大事な構成員の一つなのですから。

★ 常設カマドを使う

 キャンプ場にカマドが常設されている場合には、そこを利用し、ほかの場所にカマドを作らないようにします。(キャンプ場で禁止している場合も多い)

 

 常設のカマドの数が、集団の大きさによって足りない場合には、灯油缶などを使って、地面や石を汚さないカマドの利用を管理者にお願いしてみましょう。こちらの自然に対する考え方や集団指導の方法についてきちんと話せば、たいていの場合、積極的に協力してくれます。