2. すべての子どもがさびしさの中で友だちに気づかいながら暮らしている

 子どもが友だちといっしょに自由に使える時間がものすごく少なくなっています。小学校の低学年でも平日は学校から帰ってくるのは3時~4時近く、それからそろばんや習字、ピアノに塾と日によってなにかしらが入っているのですから、「のんびり遊んでいるひまがない」ということになってしまいます。比較的ゆっくり使える水曜日や土曜日には、スイミングやスポーツクラブの練習が入っていて、やっぱり自由には放課後の時間を使えません。

 たとえ一人の子が習っているのはひとつか二つでも、それぞれが別々のことをやっているわけですから、友だちとのスケジュール調整もたいへんです。その結果、遊び集団が1人か2人、多くても4~5人と、とても小さくなってしまいます。

 子どもどうしは、友だちの生活パターンをよく知っています。自分と時間の合わない子とは最初から約束しません。

 児童館に来た小学三年生の子が「わたしが遊びたいのは、4人だけ。ほかの子はあんまり関係ないの。2人が塾に行って、あとの2人が約束して遊んでいるから、今日わたしはひとりぼっちなの」と、言っていました。友だちづきあいが、同じ習い事やスポーツクラブのメンバーとのつき合いに限られていて、別のグループの子とのかかわりが極めて希薄になっています。

 明るく、家の外に出て元気に遊んでいるように見える子の中にも「約束しないと遊べない」「友だちが他の子と約束している時は割り込めない」という悲しいほどの友だちへの気づかいがあるのです。

 子どもたちは、友だちに対して恋愛感情にも似た深い思慕と関心を抱いています。友だちが持っているものを欲しがったり、友だちの所にお泊まりに行くのがものすごくうれしかったり、親以上に友だちの言う事を絶対視したりするのは、そうした現れです。

 ほんとうは、もっともっと友だちとじっくりつき合いたい、相手の事を知りたいし、わかりあいたい、ともに楽しい時をいつまでも過ごしていたい、と子どもたちは心の底で感じています。

 ところが塾やおけいこごとで忙しくしている友だちを見ると、「そんなの休んでもっといっしょに遊ぼう!」などとはとても言えなくて、友だちが「もう時間だから」と言えば、明るい顔を作って相手を見送るのです。

 「遊べているか」「友だちがいるか」という視点だけでわが子を見るのではなく、どんな気持ちで友だちとつきあっているのかを親としてよく理解してほしいと思います。