7. 伝え合いの中の自己形成と発達

 子どもたちの危機を説き、地域の遊びやそれを支える異年齢集団の大切さを語る人は大勢いますが、実際に子どもたちとはじめの一歩をふみだす人は、そう多くはありません。東京ではいま70近い子ども会や少年団、遊び会が活動しています。そこでは、高校生や大学生、10代後半から20代前半の若者たちが生き生きと子どもたちと遊び・語り合い・歌や音楽などの文化を共有しあっています。


 墨田区では、中学校のときに少年少女センターのキャンプなどに参加したことがきっかけで、「こういう活動が地域にひろまって子どもたちの仲間の輪が広がったらいいな」と考えた2人の中学3年生が学校の友だちによびかけ、小学生たちをさそって、遊び会やクリスマス会を行いました。それから一年、この地域では、11人の高校生指導員たちが、毎月1~2回、町の公園を利用して小中学生たちとの遊び会や季節の行事を続けています。

 

 自分を見つめなおし、自己を確立しようとする少年期から思春期前期にかけて自己形成の大事なきっかけに、子ども時代の仲間との遊びや異年齢集団(組織)での活動やそこで出会った多くの人たちがなっているという確信・自信が次に続く子どもたちに伝えたいという強い思いになっています。


 子どもたちの自己形成にとって大事な何が育つのか、今回の研究会のもう一つの課題がそこを明らかにすることでした。この小冊子の棚橋論文、仲本論文、岩田論文をはじめ、6人の若者たちのレポートは、そこを考える上で大切なポイントをいくつも示唆しています。大いに学びあいたいものです。