5. まとめ

 子どもたちの成長・発達の危機がだれの目にも明らかになる中で、注目されることの少なかった地域や家庭教育のありかたにまで「具体的」に触れる答申や提案、施策がさまざまに行なわれつつあります。

 それは、それで大事なことですが、しかし、なぜ、子どもたちの地域生活や家庭生活が崩れてしまったのか、その根本の原因がどこにあるのかに目をつぶったまま、親や住民の責任に原因を矮小化・転化し、親や地域ががんばればいいというような風潮もまた国や行政から意識的に作られています。

 

 この節で明らかにしたように現代の子どもたちの危機は、すなわち親たちの生活の危機であり、かろうじて住民によって支えられてきた地域の教育力完全崩壊の危機でもあるのです。ともに危機の中にある子ども・父母・住民が手を取り合って、その危機の内容と原因を探り、ともに解決への道を自覚的に歩みだすことがいまなにより求められていることでしょう。

 そして、学校は、主権者たる国民を育てると言う憲法・教育基本法の精神を忘れることなく、問題解決のための住民活動・地域子ども集団(組織)作りの活動をどのようにサポートできるのかを真剣に考える必要があります。そういう点で「特別活動」による「儀式」「行事」「生徒会」などの活動を地域との連携で充実させることがひとつの切り口になると思います。