資料3. 子育ち・子育てをめぐる気になる情勢

       ~ 1999年7月以降を中心に ~

I. 世の中の動きを広く見渡して…

A. 子どもの人口がますます減少、もうすぐ1割?

1999年4月1日現在、
総人口に占める年少人口の割合は14. 9%(12年連続低下、史上最低を更新)
老年人口比は16. 5%(前年度比0. 5ポイント増加)
cf. 10月1日には要介護認定が始まり、実質的に介護保険制度がスタート


B. 子どもの人権擁護を考える新たなキーワードは「性」?

「児童買春、児童ポルノに係わる行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」
1999年5月18日に全会一致で成立。
cf. 1994年国連・国際人口会議(カイロ):
  世界の人口の急激な増加を防止すべく
   (1) 「性」について、女性が身体と人生の主人公になること。
   (2) 青少年が「性」について責任ある行動がとれるような性教育と情報・サービスを提供すること。cf. 援助交際
  の重要性が打ち出されました。 = リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の確立
cf. 1996年、スウェーデンで「第1回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」
cf. 1999年4月1日、改正男女雇用機会均等法施行:
  特に、職場や学校等でのセクハラ根絶が大きな目標。雇用者・管理者側の責任も問われるようになりました。
cf. 虐待における性的虐待の増加
cf. 1999年5月31日、警察庁、ドメスティックバイオレンス、児童虐待の積極的な立件方針を全国の警察に指示。
  リプロダクティブ・ヘルス・ライツの確立やジェンダーバイアス、セクハラ根絶のための啓蒙活動の活発化が
  期待される時代となっています。
cf. 児童館におけるジェンダーバイアス、セクハラもあります。さて、どうする?
cf. 2000年2月4日、国連人権委員会作業部会、「18歳未満の児童の売買、売買春、ポルノを禁じた選択議定書」
  大筋合意。→ 国内法のさらなる強化?


C. 「ハッピーマンデー」で児童館はハッピー?それとも…

成人の日と体育の日をそれぞれ第二月曜日に固定し、土曜日、日曜日と三連休にする改正祝日法(通称「ハッピーマンデー」)が2000年から施行されます。教育長に対し、休日変更の検討を依頼する文書が出されています。
cf. 最終的な決定権は学校長にあります。

・さて、こうした連休をどう利用する?各家庭で、そして、児童館で…。
cf. 今後週末の事業企画、特に大規模な事業の場合、日程の設定や人々の動員の読み込みなどに困難が生じてくる?

・日曜・休日開館の要求が強まる?親子による共同利用が可能になる等、休日には普段と違った条件が伴うので、それらに配慮した意義ある開館方法の工夫も求められる?


D. 1999年7月12日、ダイオキシン対策特別措置法の成立

情報提供や啓発活動の積極的な推進を!


E. 西暦2000年は「子ども読書年」

1999年8月10日、国会で、西暦2000年を「子ども読書年」とすることが決議されました。(全会一致)
文部省を中心とする関係省庁、出版団体等で組織する「子ども読書年プロジェクト」が推進母体となり、今後関連の様々な催しが実施される予定。
・各地では、読書活動や読書サークルの育成、連帯の動きなどが活発になる?
・図書館や読書、読み聞かせのグループ等との新たな関係作りや共同事業を仕掛けるチャンスか?
cf. 「心の教育」の延長線にある動き。

2000年5月5日に、国立国会図書館の分館として、上野に「国際子ども図書館」を開館。質量とも世界最大規模の蔵書と読書環境を整え、国内外の様々な情報の収集と発信のできる施設にすると謳われています。
東京の子ども達は直接的にこの図書館とコミットすることが可能です。さて、どんな影響が出て来る?
・図書館は単なる本の貸し出し場ではなく、情報ベースであり、社会教育施設。
・文化面からの子育ち・子育て支援の大きな拠点が開設されることになります。
cf. 平成15年、「東京都ユースプラザ」開館


F. 大学、大企業が先導し、能力主義査定はますます一般化?

1999年5月26日、文部省の学術審議会が今後の科学技術や学術振興策を示す報告書をまとめ、大学などの研究業績を評価する第三者機関を設け、それに基づく研究費配分を進める提言を発表。
8月10日、文部大臣の私的懇談会である「今後の国立大学等の在り方に関する懇談会」が初会合を開き、国立大学の独立法人化の検討が本格的にスタート。
cf. 1999年4月中央省庁改革推進大綱(閣議決定):
  行財政改革から国立大学(国家公務員の約1割)の独立行政法人化を打ち出す。
cf. 国家公務員の定員削減:2001年から10年間で25%削減。

国立大学は近い将来(おそらくは平成16年度から?)国から独立すると同時に、研究業績を激しく競い合い、そして、厳しく査定される状況の中に放り込まれるとみられる。
cf. 文部省、1998年9月の中央教育審議会答申(学校を地域に開かれたものとするための取り組みが必要。学校の教育目標とそれに基づく具体的教育計画、また、その実施状況についての自己評価をそれぞれ保護者や地域住民に説明することが必要。)を受けて、「学校評価」の問題に本格的に着手を決定。(1999年8月)東京、大阪、千葉、福岡の都府県と京都市に研究を委嘱。「学校の教育活動の自己評価等に関する調査研究」事業を開始。
cf. 高知県:公立学校に「授業評価」導入済み。
大阪府:保護者、地域住民、児童・生徒から評価を取り入れた「学校評価」を実験的に試行中。

1999年7月6日、トヨタ自動車は、事務職と技術職の職員を対象に、年齢給を廃止して、職能給を導入した新賃金制度への以降を発表。
1999年10月より新制度への移行となります。日本経済団体連合会の会長が率いる国内最大規模の企業であり、また、常に経常利益の最高を競うトヨタが能力主義の徹底に踏み出すことの意義は?
cf. 2000年1月、NECは、同年10月から成果主義を徹底した賃金制度導入を労使合意。定期昇給から年功序列要素を排すことを決定。昇給・昇格に成果や能力をきめ細かく評価する制度を盛り込む。

 

II. 子育ち・子育てをめぐるデータと諸見解


A. 子育ちをめぐって

1999年7月厚生省研究班(代表:奥野晃正・旭川医科大学教授)発表:
全国の中学生2万5千人、小学生3万2千人対象の調査から。
中学生の25人に1人、小学生の40人に1人が、身体にはっきりした原因がないのに、倦怠感、頭痛、下痢、食欲不振、学習障害などの何らかの「心の問題」を抱えている。;学習障害(LD)、注意欠陥動性障害(突然大声を発する。授業中に離席。など)、チック症なども確認。
不登校児の殆どに睡眠障害(昼夜逆転など)、ホルモン分泌異常が確認される。;
血流が偏り、脳に酸素やエネルギーの供給が減少している例もあり。
もはや心理学、医学的な治療が必要な子どもが増えてきている。
cf. 割合とすれば、学童クラブにも1~2人程度いる可能性。
cf. 児童館と医療関係者との連携はどれだけ確立している?学校関係者や民生委員等との連携だけでは不足です。

1999年7月13日東京都発表・学校基本調査速報値:
1998年度中、不登校で学校を長期欠席した小学生・中学生の数は10752名;
その内、中学生は9946人(前年度比2. 7%減)

1999年7月22日青少年問題審議会(首相諮問機関)答申:
少年による凶悪犯罪の増加に対処すべく、家庭、学校、地域が一体となった取り組み = 子どもの育成のための「地域コミュニティー」の形成 = より多くの大人が参加し、青少年の社会性を培っていくための環境作りの必要性を提起。
「少年非行は戦後第4のピークに向かいつつある。」という認識。
cf. 刑法犯で検挙された14歳以上20歳未満の子どもは1998年度まで6年連続増加。
cf. 戦後の少年非行のピーク:1951、64、83年

重大な問題行動を起こした子どもの特徴:
(1) 社会のルールを守る意識の薄弱。
(2) 自己中心的で衝動的。我慢できない。

問題発生の背景:
(1) 子どもの自由や権利を守る観点の偏重。→しつけがおろそか。
(2) 大人が子どもに対し、断固たる態度をとらないこと。

学校に対する要望:
(1) 将来の市民、親としての素養を養うべく、倫理や公民意識に関する教育、育児に関する教育の強化。
(2) 「地域コミュニティー」形成の中核となる。
(3) 保護者のみならず、校区の住民に対する積極的な情報公開。
(4) 学校評議員制度を地域社会と学校との連携の格として有効に活用する。
(5) PTA活動を通した地域社会で学校を支援する機能の強化。
(6) 特別非常勤講師、特別免許制度の活用。
(7) 余裕教室の地域への開放。
(8) 地域社会の協力を得た職業体験、高齢者との交流、ボランティア体験、長期自然体験等の体験学習の充実。
(9) 異学年、小・中・高校の連携による共同行事等、異年齢交流の推進。

政府に対する要望:
(1) 青少年行政の基本方針 = 「青少年プラン」の策定。
(2) 青少年育成基本法の制定

1999年8月13日文部省発表「生徒指導上の諸問題の現状について」
平成10年度、公立小・中・高等学校の校内暴力 = 30000件(前年比25. 7%増)いじめの発生件数 = 36000件(前年比14. 9%減)

1999年11月1日厚生省発表
平成10年度、全国の児童相談所に寄せられた虐待に関する相談件数 = 6932件(前年度比1. 3倍増)
cf. 虐待者の6割 = 母親
cf. 児童福祉法第25条 = 通告義務の普及
cf. 1999年11月16日、毎日新聞新聞発表(毎日新聞調査):
  東京都と政令指定都市における一般住民からの虐待の通告件数急増 = 99年度上半期分 = 1998年度1年分
cf. 1999年12月8日、衆議院青少年問題特別委員会「虐待防止のための国会決議案」:
  児童相談所と児童養護施設の機能・体制整備


B. 子育てをめぐって

1999年6月生涯学習審議会答申『生活体験・自然体験が日本の子どもの心をはぐくむ-「青少年の[生きる力]をはぐくむ地域社会の環境の充実方策について」-』
1万人を超える子どもを対象にした、文部省の「子どもの体験活動等に関するアンケート調査」を踏まえて、子どもの「生活体験」、「お手伝い」、「自然体験」と、「道徳観・正義感」が身につくこととの間には相関関係があるとして、「子ども達の心の成長には、地域での豊かな体験が不可欠」との主張を提示。
cf. 1998年6月中央教育審議会答申 = 通称・「心の教育」論:
  生きる力:
  (1) 自分で課題をみつけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する能力。
  (2) 自らを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心など豊かな人間性とたくましく生きる
    ための健康と体力。
cf. 全国子どもプランの諸施策を理論的に裏付ける機能。

1999年7月2日ベネッセ教育研究所『子育て生活基本調査報告書Ⅱ』
小学校3年生~中学3年生までの子どもを持つ首都圏の母親4718人を対象に、
1998年12月に実施した調査の総括。
調査項目:
子育てに関する不安、子育ての情報源、仕付け・教育観、子どもの生活習慣、子どもの学力・進学について等。
要約:
(1) 母親の意識・関心は子どもが小学生の時は仕付けの面に強調され、中学生になると、勉学の面に強調されるようになる。(意識の一変)
(2) しかし、意識が一変するのは、小学生段階に子どもに生活習慣が身についたと判断し、新たな要求に踏み出そうとするからではないとみられる。
(3) 生活習慣が身につかぬまま、勉強や受験偏重となる母子の姿が認められる。
cf. 生活習慣が身についていない子どもの実態が別な面から浮き彫りにされている。

1999年9月4日文部省委嘱調査 = 「学級経営研究会」(代表・国立教育研究所所長)中間報告
「学級崩壊」状態と見られる102の小学校学級について分析。学級崩壊には平均三つの要因が絡み、3割は学級担任の能力の限界を越える状態と指摘。TT(ティームティーチング)の導入、保護者・関係機関との積極的な連携等を提言。→児童館は含まれている?

 

III. 教育界の動向


■ 教育行政 - 国家レベル

A. 省庁再編-文部省から文部科学省へ-

1999年7月8日、中央省庁を2001年1月から1府12省庁に再編する中央省庁等改革関連法が国会で可決成立。
文部省は科学技術庁と合併し、新たに文部科学省として再出発。
1999年8月31日、文部省は2000年度の文部省定員要求案を発表:
「スポーツ青少年局」の発足 = 青少年健全育成に関する施策を担当
cf. 総務省に移行する総務庁の動向を同時に探る必要性。


B. 平成12年度・文部省予算概算要求案にみる特色

1999年8月27日、文部省は標記について公表:
(1) 「心の教育」関連施策(不登校、学級崩壊問題への対応等)と特色ある学校作りに対する支援策を柱。
ex. 「学級運営等の改善のための非常勤講師の配置」:退職教員の活用。担任と一緒に指導に当たる。
スクールカウンセラーの配置

(2) 一般会計で約5兆9476億円(1999年度比769億円増)

(3) ミレニアム(千年紀)プロジェクト = 教育の情報化計画:
・校内LANの整備:各教室などからインターネットを利用できる環境を作る。郵政省、通産省と連携して、今後6年間で全国の小学校・中学校に校内情報通信網を整備する。
・教育情報ナショナルセンターの設置:各都道府県の教育センター等を結ぶ全国的な情報通信ネットワークの中心として、各学校の情報化の推進や情報教育の充実支援。cf. 経済新生特別枠予算として499億円の要求。

(4) 「生涯学習新ネットワーク化」構想:
cf. 学校・家庭・地域の関係施設一体となって子育ちを支援する環境整備構想。
cf. 全国子どもプランに続く2000年度の目玉事業。
・生涯学習ボランティア100万人参加計画:2001年 = 国際ボランテイア年対応。様々な学習を行った住民が、その成果を生かし、ボランティア活動に参加できる体制の整備。国立婦人教育会館を生涯学習ボランティア情報センターとし、ボランティアの登録と斡旋を進める。
・地域ですすめる子ども外国語学習の推進:
 cf. 「総合的な学習の時間」の創設により、小学校段階から外国語に触れる可能性が高くなるので、全国20県、100のモデル地区に事業委嘱。英会話塾、アメリカンスクール等を活用して、特に、聞いたり、話したりする力の養成に力を入れる。(もはや学校教育と学校外の民間教育をことさら区別する時代ではなくなった!という認識)
cf. 「異文化交流体験学習事業」も合わせて実施。外国の文化様式や生活様式等に直接触れる中で、生活に密着した言葉を通して、外国と日本の共通性や相違点について互いの国際理解を深め、国際感覚を子ども達に身につけさせる。20県を選定。地域に在住する外国人とのキャンプの実施等。
・生涯学習分野のNPOの連携によるまちづくり支援事業:
 学びの成果をまちづくりへ。地域社会の再生のために。公民館を中心に関連NPOが共同でまちづくり構想。
・生きる力をはぐくむ読書活動事業:地域での子ども読書活動支援。
 cf. 子ども読書年対応
・子育て支援ネットワークの形成等:
 子育て支援ネットワークの形成。
 小学校の余裕教室を利用した子育て中の親たちの交流事業。
 子育てサポーターの設置。→子育てやしつけに関する悩み、不安を抱く親にアドバイス。
 cf. 1999年7月学校週5日制時代の公立学校施設に関する調査研究協力者会議報告:
 余裕教室の活用。特別教室や学校図書館の開放。福祉施設や公園等との複合施設化等を提言。
 子育て交流事業の実施。→子育て支援ネットワークが中心となり、校庭、公民館、社会教育施設等を利用した遊び場の確保。サークルの交流等の促進。
 cf. 文部省版の子育て支援事業

(5) 税制改正 = 同時に二人以上の子どもを幼稚園に通わせる場合、二人目以降の教育費用を大幅に軽減する制度の新設:年収700万円弱の世帯を対象。自己負担の軽減を段階的に拡大。数年内に、2人目は5割程度、3人目以降は1割程度を目指す。
cf. 文部省による子育て支援策、少子化対策。


C. どんどん実行される「全国子どもプラン」

特徴的なものを拾ってみると…

(1) 子ども農業体験事業:
  静岡市等全国9ヶ所で実施。農協組織が中心となって、子ども会やPTA等と連携協力しながら、子ども達に農業体験の機会を提供。

(2) 子ども長期自然体験村:
  ユースホステルや農家等を利用。全国50ヶ所で実施。約1600名が参加。申し込みは3000名を越える。農作業、生産物加工、伝統芸能や行事体験等をも取り込み、趣向を凝らしたプログラム。2週間のロングラン。

(3) 子どもセンター:
  既に300ヶ所開設。(目標の3分の1)運営の実務、事業企画を学生等のボランティアに任せる傾向 = 若い体力と感性の活用?情報誌の配布に病院や銀行も協力。HP開設の例が多い。

(4) 子ども情報センター開設:
  国立オリンピック記念青少年総合センター内に7月中旬より開設。インターネットを活用し、全国的な規模で体験学習等の機会等の情報提供。県、地方、項目ごと等、様々な検索方法に対応。
  http://www.kodomo.nyc.go.jp/
cf. 文部省は子ども向けホームページも開設:
  http://www.monbu.go.jp/
cf. 中央省庁改革推進本部子ども向けホームページ開設:
  http://www.kantei.go.jp/jp/kids/

(5) 子ども放送局開設:
  全国公募で選ばれた子ども達の代表が番組を企画。東京からは杉並区と八王子市の小学生が選ばれました。


D. 2002年度から新学習指導要領に移行 = 「総合的学習の時間」が登場

総合的学習の時間:
cf. 小・中学校の従来の教育課程 = 各教科・道徳・特別活動 = 3部構成
今後は「総合的学習の時間」が加わって4部構成
教えるべき内容も到達目標も特に決まっていない。
子どもの興味・関心によって始まり、展開する。(ゴールフリー)
問題を解決する態度を育成。
調べ方・考え方・学習したことのまとめ方・発表や討論の仕方を教える。
→ 学習の技法を鍛える学習
キーワード = 「生き方」、「生きる力」
cf. 新学習指導要領総則 … 「特色ある教育、学校作りの推進」
  → 主役としての「総合的な学習の時間」の活用。
cf. 新学習指導要領総則における例示:
  (1) 国際理解、情報、環境、福祉、健康等の横断的、総合的な課題
  (2) 児童の興味・関心に基づく課題
  (3) 地域や学校の特色に応じた課題
方法:体験的な学習、問題解決的な学習
実質的に何をやってもよい!どうやってもよい! = 義務教育の規制緩和
cf. だが、これは児童館のノリでは?
cf. 小学校3~4年 = 年105時間、5~6年 = 110時間 = 週3時間
cf. 1999年8月20日日本PTA全国協議会全国研究大会会長発言:
「総合的学習の時間」の新設は、学校と地域が一緒になってカリキュラムを編成していく絶好の機会として歓迎の意向を表明。


E. 1999年8月から、国立教育研究所、幼児向け早期教育の総合実態調査開始2年間を予定。就学前の学習活動の実態と心身への影響を調査。親の意識も調査。

cf. 1998年6月中央教育審議会答申:知育に偏る早期教育は「自発的な学習意欲を低下させ、心の成長をゆがめる」と指摘。
「心の教育」論から幼児の育ちも検証。
文部省と厚生省、双方の職員も参加。
→ やがて、文部行政、教育行政双方から改革の動きが拡大


F. 1999年8月25日、厚生省、「児童虐待防止協議会」設置を決定

急増する子どもの虐待の早期発見と対応を目指す。
2000年度は全国の100の市町村に設置。厚生省が設置運営経費の3分の1補助。保健・福祉・医療・教育・警察等の関係機関が連携を図る。
cf. 児童相談所の機能強化
→ 児童福祉司の仕事に協力し、関係機関との連絡調整を行う児童虐待対応協力員を一人ずつ配置。


G. 2000年1月21日、学校教育施行規則(文部省令)改正

学校評議員制度の導入(平成12年度から)。但し、必置規定ではない。
cf. 児童館職員は評議員になれる?


H. 2000年3月以降、教育基本法改正、中央教育審議会に諮問

2000年2月18日、文部大臣表明(衆議院文教委員会)。
教育基本法をめぐる論点の一つとして、生涯学習の視点の欠如が指摘されている。


■ 教育行政 - 都レベル

A. 第23期東京都社会教育委員会議「中・高校生世代に焦点をあてた社会教育施策のあり方について-多様な自己実現を支援するために-(助言)」

東京都教育委員会に提出。
・中学生・高校生の居場所作りの推進 → 具体的にはどこに?
・中学生・高校生の活動支援者としてユースパートナーの配置 → 児童厚生員との関係は?
・NPO・NGOと連携した社会参加プログラムの充実 → 児童館は連携相手にあらず?
・音楽室・図書室等、学校施設の開放促進…完全学校5日制に対応させて
等を提言。


B. 1999年7月22日東京都教育委員会、都立高校の学区制緩和決定

平成12年度から全日制普通科高校には都内全域から受験可能となりました。
特色ある学校作り対策。教育自由化の流れ。… 石原知事の登場で加速?
cf. 1997年1月文部省通知「通学区域制度の弾力的運用」
… 保護者の選択権拡大
1998年9月中央教育審議会答申:弾力化推進を提言
cf. 学校教育施行令は、市町村の教育委員会に児童・生徒が就学する小・中学校の指定を義務付けているが、「通学区域」の設定に法令上の定めはない。地理的事情や住民感情等を考慮して教育委員会が決めているだけ。
cf. 小学校、中学校へも波及は必至。→品川区決定(1999年9月)


C. 1999年12月2日、教育庁、「教員等人事考課制度導入に関する検討委員会」報告

5段階評価の実施を答申:絶対評価 → 指導育成に利用
相対評価 → 給与、昇任等に反映

 

IV. 福祉界の動向


A. 国家レベル

1. 社会福祉基礎構造改革の現状 -いよいよ法案提出へ-
8月10日、中央社会福祉審議会に「社会福祉の増進のための関係法律の整備等に関する法律案(仮称)制定要綱」が諮問されるにいたりました。もはや改革はサテライトに立つ段階。10月中旬?審議を終了し、厚生省によって最終的にまとめられた法案が国会に提出されるはずであったが…。年金改革の煽りを受けてしばし延期。しかし、いよいよ…。「措置」制度から、利用者が施設やサービスの内容を選択する「契約」制度に転換することが目標。
社会福祉事業の質と効率性の確保を導く。
客観的な基準によって評価する作業が前提として必要 = 格付け。
企業や民間団体、NPOなど、多様なサービス提供主体の参入が促進される。
既存の児童館の事業はどう評価されることになるのか?

2. 少子化対策臨時特例交付金の創設
1999年7月、平成11年度補正予算の成立により、約2000億円の「少子化対策臨時特例交付金」が創設されました。

概要:
 (1) 市長、都道府県が地域の実情に応じて実施する、少子化対策の呼び水として効果的な創始工夫ある保育・教育等の事業。
 (2) 民間が実施する当該事業に対する市町村及び都道府県の助成。
に対し、市長村及び都道府県の申請に基づいて交付される。

特色:
(1) 保育所待機児童の解消を重視するため、交付限度額全体の4分の1は、保育所待機児童数に応じ、算定する仕組み。
(2) 国が対象とする事業を指定して交付する通常の交付金と異なり、市町村や都道府県の創意工夫を最大限生かそうとする前例のない交付金。
cf. 9月以降も申請が可能(厚生省説明)→9月議会での審議を経て申請も可。支出する事業名を定めた上で「基金」を作り、2002年度まで交付金をプールする例もあり。

交付対象となる事業の例:
待機児童の解消のための保育所保育所の新設や整備。
公共施設における子どもスペース等の整備。
少子化問題キャンペーンの実施。
学童保育の新設や整備。

この背景は:
(1) 保育所の待機児童の解消をはじめとする少子化対策の推進については、地域の事情に通じ、自由に身近な存在である地方自治体、とりわけ市町村における取り組みが重要であるとの厚生省判断。
(2) 1999年4月、自民党・自由党・公明党・改革クラブの「少子化対策検討会」が、総額2000億円の「少子化対策特例交付金事業」の創設を提言。
(3) 1999年6月、政府の業構造転換・雇用対策本部が「緊急雇用対策及び産業競争力強化対策について」を決定。この中に、「緊急少子化対策による雇用・就業機会の創出」が盛り込まれたこと。

東京都と市町村区の申請状況 = 福祉局より一括申請(1999年9月末現在):
(1) 東京都申請分 = 7000万円:
  少子化問題を考えるポスターの公募等の広報・普及啓発事業、子育て支援情報データベースの開発等に対し。
(2) 市町村区分申請 = 合計206億1000万円:
  ex. エンゼルプラン等の作成(1区3市)
  学童クラブの整備(15区13市1町)
  さて、お宅の市町村区はどんな申請をしたのでしょうか?
cf. 1999年12月、使途目的をめぐる全国の状況が判明:
  幼稚園・保育園の施設・設備に集中 = 全体の7割 = 1400億円
  児童館関係の整備 = 1割強 = 210億円

3. 1999年10月、「保育所保育指針」改定
改定の要点:
(1) 地域の子育て家庭に対する支援機能の明確化。
(2) 家庭・地域社会・専門機関との連携協力関係の必要性の明示。

4. 1999年12月19日、「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について」(新エンゼルプラン)提出
エンゼルプランの理念、緊急保育対策等5か年事業の成果を踏まえて。
基本構造 = エンゼルプラン+全国子どもプラン+アルファ
2000年度から2004年度の5年間の整備目標。

5. 2000年1月20日、「少子化社会対策基本法案」衆議院委員会審議に付託
子どもを安心して生み育てられる環境整備の試作を総合的に策定するための指針と具体策を盛り込んだ法律を目指す。
cf. 第12条 = 地域社会における子育て支援体制の整備
第14条 = ゆとりある教育の推進


B. 東京都レベル

1999年8月3日、東京都発表「福祉施策の新たな展開」
東京都における福祉施策転換の必要性と、その基本的な方向性を提示。
背景:
(1) 社会福祉基礎構造改革、介護保険の実施に伴い、福祉サービスの基本的な考え方も変わろうとしていること。
(2) 本格的な少子高齢社会に対応した福祉へ転換する必要性。

基本的な方向性:
(1) 都民が自立し積極的に自己実現できる福祉へ
(2) 都民が安心して生活できるよう社会全体で支える福祉へ
(3) 都民が選択する福祉へ
(4) 在宅サービスに重点を置いた福祉へ
(5) サービス利用と負担のバランスがとれた福祉へ
(6) 区市町村が主体となる福祉へ

社会福祉基礎構造改革の考え方や地方分権の考え方を色濃く反映している。
cf. 1999年12月、福祉改革ビジョン~「福祉策の新たな展開の推進」~:
  社会福祉基礎構造改革の理念を東京都に当てはめ、都の福祉行政をかえていくための包括的な戦略。特に、「子ども」、「家庭」、「障害者」の分野を念頭に策定。「子ども家庭サービスの新しい展開」として;
ex. 延長保育の多様性と全保育園での実施。
  児童相談所に「児童虐待対応協力員」の設置。
  ひとり親家庭ホームヘルプ事業の拡大。
  保育サービス評価事業、児童福祉施設サービス評価事業。

1999年11月4日、福祉局、民間団体の子育て支援事業に関し、スタッフの要請に対する助成の決定
背景:NPOなどの民間団体による公的保育サービスの補完。
目的:市町村における多様なサービス供給主体参入の条件整備。

1999年11月17日、東京都児童福祉審議会答申「ひとり親家庭の自立生活を支援する総合的な施策のあり方について」(ファミリーソーシャルワークを展開できるシステムづくりを目指して)
背景:母子・父子家庭の増加
   家庭・地域における養育能力の低下
目的:特に、子どもが健全に育つ家庭となるよう社会的支援

 

V. 地方自治の動向


A. 地方分権の流れ

1. 1999年7月8日、地方分権一括法成立
  地域の実情に合った独自な行政の推進 = 自治体と住民の自己責任の増大
  もはや、自治体が行う事務なら、法律に反しない限り、地方議会で条例を制定して手数料などを決めることが可能になります。
cf. 法定外目的税:特定の政策目的に当てる自治体独自の課税
cf. 議員と職員の能力の見極めの重要性→うちの町の職員はどの程度?
一括法の成立に伴う自治体改革の注目点(と思われること):
(1) 各施設における職員配置(職種、人数)の見直し
(2) 基礎的自治体の合併促進
(3) 地方議会における条例の制定・改正、規則の整備:
12~1月の議会が天王山?

2. 1999年8月、自治省発表「市町村の合併についての指針」
地方分権一括法案の成立に伴い、市町村の合併を進めるべく、自治省がそのための指針をまとめました。自治事務次官から都道府県知事に対し、「市町村の合併についての要綱」の作成が既に要請されています。
「市町村の合併についての要綱」の構成抜粋:(本来は五つの要点)
合併のパターンの提示。
cf. 1999年11月現在、全国274市町村(全体の1割弱)が合併の動き。
  2005年までに合併すると財政優遇。
cf. 地方議会における条例の制定、改正などの動き。あなたの自治体はどんな具合?

3. 2000年4月~?地方分権第2ラウンド? = 都道府県と市町村との間の地方分権
改正地方自治法「条例による事務処理特例制度」による市町村への権限委譲。

4. 2000年1月15日、自治省発表、1998年度都道府県決算
東京、神奈川、愛知、大阪は赤字決算。


B. NPO委託事業の創設

行政から見た場合、NPOには住民サービスを向上させる上で明らかに幾つかのメリットと見られることあり:
(1) 細部にわたる現場の情報が豊富で、現場に適したサービスの質を高めることが期待できる。
(2) ボランティアの参加など、地域と連携してサービス提供できる。
(3) 行政が人を雇用するより経費を削減することができる。
1999年7月8日、政府は70万人以上の新規雇用の創出を目指す緊急雇用対策を柱とした1999年度補正予算を閣議決定。この中に:
緊急雇用・就業機会創出特別対策事業費 = 2047億円


C. 1999年7月、PFI推進法成立

自治体改革を推進すべく、もうひとつ注目されてきたのが、公園や社会福祉施設などの公共事業・施設の整備や運営などに民間の資金や経営手法を生かすPFIの導入ですが、このための法律も成立しました。既に各自治体で検討が始まっています。
PFI:プライベート・ファィナンス・イニシアチブ


D. 東京都の財政状況 -財政構造改革の背景-

1999年6月29日、石原知事、施政方針演説で、11月に「危機突破・戦略プラン」の策定を表明。何故?
都債残高(1999年度末現在):7兆1300億円
cf. 2002年度から大量償還開始→2003年度の8600億円の償還。以降毎年7000億円程度返還し、10年間で元金の42%を返済。残りを借り換えて30年間を要して全額返済。
1998年度決算による赤字:1000億円
2000年度予算で見込まれる財源不足:6200億円→埋め合わせ内部努力へ
cf. 聖域なし→給与削減
経常収支比率:100%弱→せめて80%、当面90%を目指す。


E. 特別区の行財政をめぐる動き -子育て支援との関係で-

1999年7月23日、区長会、国への予算要望:
子育て支援施策の充実を重点要望に格上げ。
cf. 学童保育の財源措置と子育て支援策の統合一本化
学童保育事業の法制化に伴う実態に即した財源措置要望


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