1. 今の子どもたちと遊び

 「ねえ、きょう遊べるかな?」どこか遠慮がちな誘いの言葉が今の子どもたちの置かれた状況をよく示しています。子どもたちが自由に使える「空間・時間・仲間」の「三つの間」が極端に少なくり、そのことが子どもの成長・発達に重大な悪影響を及ぼしているとよく指摘されます。


 でも「わが子を見ているとそれなりに遊んでいるようだし、友だちもいるみたいだからあまり心配していないわ。それより、学校の勉強についていけるかの方が心配で……。」と思っている親も多いのです。「もっと子どもたちを遊ばせるために親も集まって子どもたちの仲間づくりを助けていきましょうよ」とおさそいしたら、「ただ子どもを遊ばせるだけでしょ。なんで子どものあそびに親がかかわらなければいけないの?」と言われて返事にこまってしまいました。という子ども会のお母さんもいました。


 いじめや自殺、不登校や思春期の閉じこもり、人間関係の希薄さなど子どもの成長・発達のねじれが社会問題になっているにもかかわらず、わたしたちおとなが、なかなかわが子やその友だちの問題としてとらえることができないのが今の子の最大の不幸なのかもしれません。