6. 子どもの発達を促す「共生の文化」としての「遊び」への注目

 いま、東京の各地では、子ども会や少年団、高校生や青年の指導員たちが中心になって学校や地域の子どもたちによびかけ、公園や校庭開放を利用して「あそび会」をおこなっています。児童館や学童保育、さまざまなボランティアサークルが子どもの「遊び」(特に集団遊びや伝承遊び)に注目し、子どもどうしが異年齢の集団で遊べるように働きかけています。


 遊びを続ける中で、「最初のころは自分たちの言いたいことばっかり言ってばらばらだったり、すぐ泣いてしまったり、ぶってくるばっかりだった子が遊びの中心になったり、がまんするようになったりする姿が見られるようになった」(目黒区・大岡山小学校あそび会) 「自分をコントロールできない子どもたちが何回かの遊びの中でコントロールできるようになってくる」(棚橋)など、子どもたちの質的な変化が見られるようになってきます。


 外遊びがない、集団遊びができない(知らない)、自然や町と触れ合い、冒険(探検)するような遊びがない子どもたちは、人間が長い歴史の中で育ててきた「文化」から切り離され、テレビゲームに代表されるようなデジタルとテクノロジーの洪水の中で心身ともに疲れきっています。

 

 「『みんなと一緒に生きていきたい』という思いを子どもたちは強く持っている。共生の文化や遊びが必要です」(山崎) 「子どもが発達するのには人間的な環境、柔らかさを大切にした人間らしい環境が必要です。それだけではだめで、そこに人間的文化を身につけた人との共同的営みが必要です。これが大切です」(棚橋) と2人の先生が話してくれましたが、子どもたちの社会(異年齢集団)が崩れ去っているときに、人間的な遊びや文化を身につけた(身につけようと努力している)大人や青年たちとの関わりあいの中で、子どもたちが本来持っている集団の文化を創造し、伝承する力を育て、発揮させていくことのできる具体的なとりくみの一つが、わたしたちの言う「子ども組織作り」「子ども会・少年団作り」の活動です。