2. 子ども会・少年団活動は、現代の子どもたちの宝箱

子ども会・少年団は、子どもたちの「願い」「好奇心」「要求」の実現の場であり、「誘いかけ」の活動を通して、仲間と自分を見つめあい、自己を確立していく場


 子どもたちは、もともと好奇心の固まりです。大人が気がつかないようなことにも興味を感じ、「不思議だなー」と感じたり、「どうしてなのかなー」と考えたりします。


 子どもたちのもうひとつの特質は、自分が感動したことは、お母さんやお父さん、友だちに話したくてしょうがなくなってしまうことです。時には、自分の世界に没頭しながら、次の瞬間には友だちと心の底から笑いころげている。ほんらい思春期に入る前の子どもたちはそういう力をもっているのです。


 だから、まず何よりも子どもたち一人一人がいま「やりたいなー」とか「おもしろいな」と思っていることを大切にします。そして、お互いに「ねえ、いっしょにやってみない?」と誘いかけることを励まします。


 けれど、いきなり子どもたちに「ねえ、何かやりたいことある?」と聞いてもいまの子どもたちの状況の中では、「べつにー」とか「なんでもいいよ」とか「なにもやりたくない」とか「寝たい」とか、がっかりしてしまう経験を誰もが持っていると思います。


 予約しないと友だちと遊べない、多人数で遊ぶ醍醐味を経験することの少ない毎日を送っている今の子どもたちがあそびの楽しさ、友だちを誘い込むことによって広がる世界の魅力をう一度自分たちの心の中に呼び戻し、活動的なエネルギーをその年代にふさわしく大きななものにしていくためには、子ども自身のたいへんな努力が必要ですし、お互いの努力を励まし合う仲間や、その努力を認め、見守ってくれる指導員や青年の存在がどうしても必要なのです。


 そういう集団関係の中でこそ、子どもたちは、地球規模で人間であることが、生き物であることが否定されてしまいかねない今の状況の中で、自分が大切にしなければならないもの、何のために生きるのかを考えられる子に育っていくのだと思います。

 

子ども会・少年団活動を一歩ずつ発展させましょう


 そこに行けば、なにかが発見できる、楽しさがある、夢が実現できる、子どもたちにとって宝箱のような、なくてはならないものにする。それが私たちの最もたいせつな願いであり、課題です。

 

 そのためには、何よりも子どもたちが安心して集まり、おしゃべりできたり、遊び合えたりする「場」になっていることが必要です。子どもたちがせっかく楽しくなり、友だちができたと感じても、次にいつ集まるのか良くわからないというのでは、子どもたちが自分たちの夢や仲間を育てるところにはなり得ません。

 

 週単位、月単位で定期的にきちんと集まること、電話で確かめ合わないでも、そこに行けばかならず友だちと出会えるという期待を持てる集まりをつくること。来なかった子には次への誘いかけがちゃんとあること。「何をやるか」という以前に、そんなあたり前の集まりを作ることが必要なのです。


 そして、このあたり前のことがなかなか成立しないというのが今の子どもたちの抱えている問題であり、そのことに気づかせ、自分たちは何をしたらいいの考えさせること、子どもたちで解決し切れない問題は、親たちがしっかり受け止め相談に乗って、子どもたちの一回、一回の集まりを大切に育てていくことがだいじです。


「あそぶ」ことを基本に、行事や学習を成長の節に


 子どもたちは、いま「なにかのため」「将来のため」の生活に追われ、その中で窒息しそうになっています。そんな子どもたちになにより必要なことは、我を忘れて夢中になれる、心のそこから声を出したり、歌ったりできる、ふだん見慣れたものの中にわくわくどきどきするものを発見できる、そんな瞬間なのではないかともいます。


 子どもたちが安心して集まれる場をつくるということは、集まった中にこういう瞬間がいっぱいある仲間関係を育てるということです。体と体でぶつかり合うあそび。息をひそめて緊張感を高めあい、その緊張感がふっと破れる瞬間を楽しむあそび。頭を使い技を競い合うあそび。町をフィールドにし、ドキドキしながら何かを発見することを期待する探険あそび。何も準備がいらない、集まる心、楽しむ心さえあれば展開できる「あそびの活動」こそ子どもたちの仲間づくりの活動の基盤です。


 「まず集まる」「とことん遊ぶ」ことで生まれてきたエネルギー、仲間との信頼関係が基盤になって、一定の目的を持った「行事」が生まれ、ひとつの行事を作り出す共通の仕事を通して、話し合いが活発になり、仲間の結びつきが深まる節になっていきます。


 行事を豊かな内容を持ったものにするための学習や、自分たちがぶつかっている問題、仲間・学校・社会を理解するための学習は、高学年から中学生の子どもたちが自信を持って活動に参加するためにも、一人一人の成長のためにも必要なことです。


 子どもたちの人間的な成長を支える子ども会・少年団活動をすべての子どもたちにプレゼントすること、それが今の社会の中で何よりもたいせつなことだと私たちは思っているのです。■