アウトドア講座:キャンプで食事をつくる

5. 命をささえる食事

 「健康のためには、一日30品目」「乳製品、卵、肉、魚介類、豆、緑黄色野菜、淡色野菜、芋類、穀類をバランスよく取る」などのことが、栄養素の面からみた食事法として言われています。キャンプでは、生ものの保存に難点があり、食品の選択に一定の制約を受けることはやむをえないことですが、できるだけ原則にそったメニューを考えることが必要です。

乳製品

  チーズ (牛乳・バターは、保存に不向き)

 

  くん製卵 : 飽和食塩水に好みで若干の三温糖を加えた溶液か、醤油に卵を一昼夜浸す。食塩水の場合は、そのまま、醤油の場合は、水を加えて、ボイルし、ゆで卵にする。60℃~70℃の高温で2~3時間くん煙する。冷暗所に保存する。普通のゆで卵は、生卵よりも腐敗が早いので注意。

 

肉類

  焼き豚・くんせい・ベーコン・サラミなどの加工肉。生肉は、いたみが早い。特に鳥肉は、くさりやすいので注意する。生肉を利用したいときは、味噌漬にして持っていく。

 

魚介類

  これらも、腐敗の早いものの代表選手のようなもの。日本はもともと、肉よりも魚をタンパク源として利用していた国。漁村から山奥の村に塩漬けにした魚を運び、1年を通して利用するなど、保存法にかけては完成されているので、おおいに利用したいものだ。干物・塩鮭・み欠きニシン・くんせい魚・甘露煮の魚だけでなく、タコやイカ、貝類も種類は豊富である。調理法も、そのまま食べれるものから、湯で戻して調理する、塩抜きして利用するなどさまざま工夫できるおもしろさもある。

 

豆類

  枝豆・サヤエンドウ・インゲン・ソラマメなどが、調理も簡単でおやつにもでき、キャンプにはむいている。豆類は、一般的に保存性がいいのでじょうずに利用したい。高野豆腐、納豆、味噌などの大豆製品の活用を。

 

緑黄色野菜

  人参・かぼちゃ・ピーマン・アスパラガス・ブロッコリーなど、キャンプ場の周囲に畑などがあれば、とりたてのものをわけてもらおう。ピーマンなども、とりたてのものはにおいもなく、生食しても甘さがあっておいしい。ビタミン・カロチンなど、他の食品よりも栄養素が高く生理機能を調節するので、ハイキングや登山などの持久力に大きく影響する。できるだけ多くとりたい。

 

淡色野菜

  大根・キャベツ・玉ねぎ・キューリ・なすなど、緑黄色野菜と同様、ビタミン類が豊富。漬物・いため物・煮物・サラダと、調理の方法で目先を変えて、充分取れるように工夫しよう。

 

芋類

  ジャガイモ・サツマイモ人間が運動するとき、一番最初に利用される糖質が含まれる食品。疲労の回復に役立つ。糖質が一番含まれるのは、砂糖などの糖類だが、澱粉と糖類をバランスよく取ることが必要。また、「芋食えば、へが出るよ~」という歌があるように、繊維質が腸の働きをよくし、便秘にも役立つ。保存もいいので、大いに利用する。

 

穀類

  ごはん・パン・もち・麺類など、米や小麦の加工品。主食になる材料。芋類と同様、糖質が多く含まれる。糖類 人間のエネルギーとして一番目に用いられるもの。疲れたときに甘いものが欲しくなるのは、身体が糖質を要求するため。砂糖・氷砂糖・蜂蜜・ジャム・チョコレート・キャンデーなど、疲れにたいして即効力があり、しかも、持ち運びが楽なので、日常食としても必ず携行するようにする。ビスケットなどは、糖類と穀類が両方含まれた食品なので、重宝である。

 

油脂

  サラダ油・ラード・バター脂肪分は、肉類やピーナッツバターなどに豊富に含まれる。糖質についでエネルギーになる。量の割にはカロリーも高いので、体力維持に効果的。野菜類に含まれるカロチンと一緒に摂ると吸収がよくなる。カレーやシチューなどの料理は、栄養バランスのうえでは典型的な料理。

 

 細かいカロリー計算などは、数泊のキャンプには必要はありませんが、どういう食事の組み合わせ方をするのか、献立を考える際に、これらの食物をまんべんなくとれるように配慮する必要があります。