アウトドア講座:キャンプで食事をつくる
「自然体験をするためのキャンプ場のゴミ処理は、自然環境を守るのにふさわしいものになっていない!」
民間のキャンプ場は、ゴミ処理は経営側の責任とされるため、お金のかかる処理業者に頼んで、それぞれのゴミにふさわしい処理をすることなど、とうてい望めません。キャンプ場の裏に大きな穴を掘ってゴミをどんどん投げ込み、油を撒いて燃やし、埋めてしまいます。
少々の量ならば、焼却炉で有害なものとそうでないものを分別して、ていねいに処理することができますが、シーズンにドッっと来るキャンパーが出すゴミの処理は、そんなものでは間に合いません。
キャンパーたちも「旅の恥はなんとやら」で、生ゴミだろうが、ビニールだろうが、なかにはキャンピングガスの使い残し、虫除けスプレーの缶まで、いっしょくたにして捨てていくものだから、焼却中に爆発を起こすこともしょちゅうだそうです。
公設のところでも、人口の少ない小さな村では、自治体のゴミ処理システムそのものに限界があって、結局はゴミ穴方式に頼っているのが実情です。
土のなかに埋めて自然にかえすといっても、土壌の分解能力、浄化能力には限界があります。ビンや缶、炭化したものはもちろんのこと、生ゴミですら、人間が狭い地域で大量にだすスピードにはとてもかないません。
キャンプ場のゴミ問題をきちんととらえて考えることは、教育的な意味をもったキャンプには特にたいせつなことなのです。
まず、基本的には、ゴミそのものをできるだけ出さないようにすることです。
最近、公園やハイキングコースにゴミ箱を置かずに「持ち帰り運動」を展開している地域がよくありますが、宿泊をともなうキャンプでゴミを持ち帰るのは現実的ではありません。だとすれば、キャンプ場のある地域のゴミ処理システムにそったていねいな分別と少量化につとめるのが、「キャンプ場利用者の義務」といっても過言ではありません。
余分なゴミを出さないためには、食料の調達の段階から計画的に考えることが必要です。
肉などは、スーパーに行くと、切り身になってスチロール皿に入れられ、ラップをかぶせて販売されています。こうして売られている肉は、調理するのには便利かもしれませんが、いたみが早いし、自然では分解できないゴミも多く出るので、キャンプにはとくにおすすめできません。
肉屋さんに行って、キャンプ中に必要な量を固まりで購入すれば、ゴミもほとんど出ず、固まりのまま冷凍してはこんだり、ミソ漬けにしたりして持っていけば、格段に保存性が高まります。調理するときは、必要な分だけ、必要な厚さ大きさに切って使えばいいのです。そのためにも、さきほど述べた「よく切れる包丁」は欠かせないものなのです。
野菜も、スーパーなどでラッピングされているものは、植物としての呼吸を止められ「死んだ野菜」になっており、保存のうえからも、ゴミの面からも好ましくありません。やはり、八百屋さんで、生きのいいところを選んで買ってくることが必要です。
キャベツなどの葉もの野菜の一番外側をゴミとして捨ててしまう人が多くいますが、畑から収穫される段階で、既に一番外側の葉ははずされているわけですから、捨てずに、かたければミソ汁やスープの実にするなどしてきちんと利用します。
ジャガイモやニンジンの皮も包丁でむくとゴミになってしまいますが、タワシなどでちょっと強くこするくらいで、調理にはなんの不都合もありません。
缶詰類はできるだけ少なめにして、材料の味付けなどに使っているタレやスープも捨てずに料理に利用し、中はティシュなどでぬぐって小さくつぶし、家に持ち帰って、都会の分別収集に回したほうが望ましい処理に結びつきます。
めんどくさいようですが、キャンプは、出発するまえの計画づくりの段階から、自然とどう関わるのかしっかり考えて準備をすることで、子どもたちやかかわる大人たちのなかに、自然によりそう目や姿勢がつくられていくのです。