アウトドア講座:キャンプで食事をつくる
「せっかくキャンプに行くんだから、自然のなかでのんびり過ごしたい」とは、だれもが感じることです。ところが、実際にキャンプに行ってみると思いのほか忙しく、「こんなはずじゃなかった」ということがよくあります。
それもそのはず、ボタン一つで高カロリーの炎が出るガスコンロやオーブン。待って数十秒、「チン」となったらすでに調理のできあがる電子レンジ。コックをひねれば熱いお湯の出てくる台所。使いやすいシンク。
便利なものに囲まれているなかでの生活と、そのすべて逆をいくようなキャンプ生活をくらべると、「その分、自分自身が動かなければならない」ということだけでもたいへんなことです。
もっとも、最近は、貸し別荘ふうの、テレビも冷蔵庫もシャワーもすべて整ったキャンプ場も作られています。けれども、こういう場所は、別の目的で行くのには便利でいいかもしれませんが、子どもたちを生活づくりの主人公にさせ、そのなかでいろいろ考えさせていくのには逆に不便な場所だと思います。
「テントサイトまで、水をくんでくる」「マキで火をおこす」「テーブルや調理台を工夫して作る」実は、こうした活動の一つ一つがキャンプ生活であり、楽しい活動の一つのはずなのですが、なかなかそういう切り替えができず、「食事は、ただかきこめばよくて、それ以外の時間が自分の時間」と、勘違いしている人たちにとっては、えんえんと続く食事づくりと、それに関係した時間は、苦痛以外のなにものでもないのかもしれません。
後片づけもふくめて、朝食作りに二時間から二時間半。昼食に一時間から一時間半。夕食作りときたら、二時間半から三時間。実に五時間半から七時間が「食事」に費やされるのです。
二泊にしろ三泊にしろ、まともにこれだけの時間を食事づくりにかけていたら、これだけで疲れてしまいます。そこで、プログラムに即して、食事の目的をはっきりさせて取り組んでみてはどうでしょう。
キャンプの行動をできるだけスムーズにすすめるための必要最低限の食事、「行動食」。時間をかけて仲間とのコミュニケーションをはかるための食事、「だんらん食」。と、食事の目的を明確にすることによって、余分な労力を省き、楽しいキャンプ生活を作りあげることができるようになります。