アウトドア講座:キャンプで食事をつくる
「食事を作る」「道具を使う」「火を使う」などの行為は、人間だけが行ってきた行為です。幾多の年月を経て、いろいろ工夫され文化として発展してきたものです。この項では、食事つくりを文化としてとらえていきたいと思います。
前にも述べた通り、「食事をつくる」ということは、人間だけが行なう行為です。
動物たちは、捕ったものをそのまま口に入れるだけで、加工するということをしません。人間だけが材料に手を加え、一つの材料からさまざまな食べ物を作り出していきます。
動物は、自分の生命の維持のために食事をします。人間は、それだけではなく、作る過程から、どのように食べるかまでを楽しみながら食事をとるのです。
もっとも、自分の作った米をいっさい取り上げられて、ひえやあわ、野草で食いつないでいた時代は、楽しむ要素は、少なかったかもしれません。でも、そのなかでもおいしく食べるための工夫は、行なわれていたのです。
むしろ、現代のほうがスーパーマーケットで買ったインスタントを温めるだけだったり、ホカ弁ですませたりで一つの材料をどのように食べやすく工夫するかもなく、テレビなどを見ながら、ただ流し込むといった、食事が多くなっています。そういう点からみると、なんら人間的なかかわりを持たないという点で、貧しい食事になっているかもしれません。
ですから、子どもたちに食事づくりを指導するということは、人間の作り出してきた文化を子どもたちに伝えていくことなのです。「キャンプだから、まるかじりでいいんだ」ということも場面によっては、必要ですが、やはり「作る」という作業を通して子どもたちに伝えていくものを大切にしていく必要があります。