アウトドア講座:キャンプで食事をつくる
材料にも一つ一つ文化と歴史があります。
たまねぎ |
原産は、ペルシア。最も古い野菜の一つで、世界中で栽培される。 |
ジャガイモ | 1600年頃、ジャガタラ(ジャワ島)から日本に渡来し、この名前がついた。原産地は、南アメリカのアンデス産地。 |
ニンジン | 原産地は、不明。中国で古くから栽培されていた。 |
キューリ | 西アジアから、中国をへて日本に。 |
キャベツ |
ヨーロッパが原産。 |
いまではあたりまえに見られるこれらの野菜も、人間の文明の発展のなかで原産地から世界中に広まり、さらに、さまざまな品種改良がされて現代にいたっています。
イノシシを改良してブタを作ったり、インドシナ・マレーの野鶏が品種改良され、ニワトリとして愛用されるようになったり、乳牛・肉牛・役牛など、人間は動物をも改良して、人間の生産や生活に役立つようにしてきました。
私たちが日々食べている食事の材料も、その一つ一つが人間の知恵と生産の努力の結晶なのです。
逆に言えば、食材として、改良・発展してきた野菜や、肉も元をただせば、野草や野生動物の一種にすぎなかったわけです。
商店では泥つきの野菜が嫌われ、塊の肉が嫌われるといいます。機械で泥を荒い流され、ピカピカにされ、ビニール袋に入れられて売られている野菜がいい野菜で、泥で汚れて、ゴロゴロ広げておかれている作物は、食べ物とは映らないのかもしれません。
野菜も生き物です。畑から抜かれても、根菜は、根としての、葉野菜は、葉としての生命力を持っています。私たち人間は、その生命力を植物からもらうことで、自分の生命力を維持するのです。泥を落され、ビニール袋に入れられた野菜は、窒息してしまい、その生命力を大きく減退させます。ギュウギュウづめにされた野菜は、その生命活動でだす熱で、やはり窒息状態になります。
キャンプは、自然のなかで、自然の営みに触れながら、人間の営みを見つめなおす場です。
野菜一つにしても、こうした視点を子どもたちに伝えるためにどうしたらいいのか考えることも重要です。キャンプ場の近くの畑でとれる作物を分けてもらい、野菜の命を考えあいながら食事づくりをする。タマネギはユリ科、キャベツはアブラナ科の植物ですが、同じユリ科、アブラナ科の野草を摘んで食べ、野菜になった植物と野草の違いを感じるなどということもおもしろいと思います。
山菜・野草ブームで、雪解けを待ちかねるように山菜とりの人たちで、山がにぎわうようになってきました。ところが、子どもたちにとってみれば、こうした山菜・野草は、アクも強く、かならずしもおいしいものとして受け止められません。おいしく食べる工夫も必要ですが、もう一歩踏み込んで、その植物の命の思いを伝えられたらいいと思います。
ユキノシタのテンプラ
どこにでもある葉です。比較的やわらかい葉をとってテンプラにします。葉肉が厚いのでかみごたえもあり、子どもに人気があります。
タンポポのテンプラ
おひたしにするとニガミのあるタンポポも、テンプラにすると苦味が抑えられ、食べやすくなります。これは、味とか歯ざわりというよりも、子どもたちにとって友だちのような植物ということで人気が高いようです。(仲間のコオニタビラコ:春の七草の一つ、アザミの葉もおなじような味です)
ハコベのおひたし
文句なくおいしい。カツオブシをまぶし、おしょうゆで食べます。ホウレンソウぎらいの子も思わず食べてしまったという代物です。
ヨモギのテンプラ・ヨモギダンゴ
キク科の植物はほとんどが食べれますが、やはり王者格はヨモギ。子どもたちも好んで食べます。
ヒルガオの葉のテンプラ
クセがないのでどの子も食べられました。
シロザ、アカザのテンプラ
味はほとんど感じませんが、クセがないのでタレ味を楽しむような感じです。
ウドの葉のテンプラ
夏場でも若い葉を選んでテンプラにすると好評です。
山ウドのサラダ
春先のとりたての柔らかいものをスライスしてサラダにします。「エッ!ウドってこんなにアクがないの?」と、ウドにたいする偏見がとけます。(ウドは採集して、時間がたてばたつほどエグミが出てきます。そうなったらテンプラにします)
タラノメのテンプラ
これも春先の料理。夏場は若い葉を選んで料理します。これもたいへん好評でした。
セリのおひたし
けっこうよろこんで食べました。
キイチゴのジャム
みんなでいっぱい摘んでジャムにしました。種と茎を取るのにザルでこして、煮詰めます。お昼のパンにつけて、あっという間になくなりました。
ヤマモモのジャム
街路樹としてたくさん植えられているヤマモモ。排気ガスがかかっているのが若干気になりますが、実は、いくらでも集まります。ブルーベリーのような色と味で人気がありました。
ドングリ団子
どんぐりのミをたんねんにひろい集めて皮をむき、重層でアクヌキをしてゆであげたあとすりつぶし、小麦粉や上新粉と混ぜてダンゴにし、砂糖醤油の味付けで食べます。あまりおいしくはないのですが、ドングリという身近さがうけています。手間がかかるのでキャンプには、向いていないかもしれません。