アウトドア講座:キャンプで食事をつくる
「朝食ぬきで朝からボーッとしている子ども」「深夜まで起きていて、朝、食欲のない子」「インスタント食品ばかりで、素材の味を知らない子」「お弁当を持たず、パンとジュースだけで昼食をすます高校生」など、子どもたちばかりか、家族を含めて、食生活の乱れが社会問題になるような事態がすすんでいます。
夕方からの塾に追われて、夕食が深夜になる。いきおい、その間をうめるためにスナック菓子などの間食が増える。塾から疲れて帰宅し、一人で遅い夕食をテレビを見ながらとる。寝床にはいるのは12時近く。翌朝ギリギリまで寝ていて、トースト一枚に牛乳一杯の朝食を着替えながら流し込む。昼の給食は、給食センターから送られてきた冷めた食事。嫌いなものは、食べずに残す。
こんな食生活をすごしている子どもや青年たちがたくさんいます。
キャンプの食事を自分たちの手で作るということは、おおげさなようかもしれませんが、自分たちの日常の食生活を見直し、あらためて、自分の生活を考え直すきっかけにつながっていくものです。
子どもたちとのキャンプにおいては、食料計画のすべてをリーダーが決めてしまうのではなく、一食でも二食でも子どもたちの年令やレベルにあわせて自分たちで相談させ、決めさせることが、ことのほか大切です。
食材の準備に関しても、子どもたちに買い物をさせることで、例えば、「卵を3個だけ必要な場合どうしたらいいのか」 「肉を1キログラム買うのには?」といったことを考えさせます。そのことで、スーパーマーケットと町の商店の売り方の違いや、値段の違いなども見えてくるのです。
肉などの「なまもの」を現地調達することも事故を起こさないうえでは必要な方法ですが、「保存のきかないものを大量に使用するメニューは考えない」「いたみやすいものは、どうしたら保存できるのかをみんなで考えて工夫して運ぶ」というようなことを話し合うことで、子どもたちを食生活の主人公に変えていくことができるのです。
また、当然のことながら、メニューによって作る手順や必要な道具なども決まってきます。
「誰がどんな仕事をしたらいいのか」「手が空いた人は次に何をしたらいいのか」「道具はどのように準備し、運ぶのか」など、子どもたちに1つのメニューを考えさせるだけで、実に多くのことが「話し合い」になり、そのなかで学ぶものがどれだけ多いかがわかります。
同時に、子どもたちとこのような話し合いを一つ一つ積み上げるなかで、リーダーとしては、子どもたちの考え方や生活の一端がかいま見られたり、何よりも適切なアドバイスを行なうことで、子どもたちとリーダーの信頼関係が深まっていくのです。