アウトドア講座:キャンプで食事をつくる
人間の生活のなかでどうしても欠かすことのできないのが飲料水です。人間は、食料がなくても一定の期間生き抜くことができますが、水分をとらないと短期間で生命が危機に陥ります。
人間は、生命の維持に必要な水分をコップに入れてゴクゴク飲む、いわゆる飲料水だけに頼っているのではありません。料理に含まれる水分、材料そのもののなかに含まれる水分も含めて利用しています。普通の食生活をしていれば、一日に必要な水分は充分に確保されているわけですが、登山やハイキングなど、自然のなかで激しい運動をしたときには、それによって失われる分の水分を補給してやらないと、健康に重大な障害を与えることになります。
「飲料水を節約する」というテーマと、このことは、逆のことのように感じられますが、必要な水分をどのように補給するかということで、むだな水を省くことができるのです。
必要以上の水分をとっても、けっきょくは、小便として汚された状態で体外に排泄されるだけでなく、血液の濃度をうすめ、より疲れやすくなるなどの逆効果をうむだけです。効果的に水分をとることが必要なのです。
喉が乾いたからといって、ガブガブと生水を飲んでしまうと、たいていの場合、水分のとりすぎになります。また、生水は、場所によってはさまざまなばい菌や鉱物質を含んでおり、ゲリをしたり、消化器系の病気を引き起こしやすくなります。
水分をとるのは、喉の乾きを潤すこともあるわけですが、なによりも身体が欲している水分と、運動したことで消費された栄養素を吸収しやすい形で補充してやることです。
激しい運動をするマラソン選手は、果汁やハチミツなどを利用して自分なりのドリンクを作って、長い戦いのために必要な水分の補給と疲労回復を計っています。
キャンプでも同様の視点が大切です。沢の水や涌き水は、たいへんおいしいものですが、それは味わう程度にし、飲料水としては、砂糖やハチミツを加えた紅茶などを作っておき、のべつまくなしに飲んでしまうということがないよう、時間と量を決めてとるようにしましょう。
昔から「お茶の時間」「おやつの時間」に軽い食べ物と水分をとることは、労働という激しい運動に対するリズムある栄養補給として、たいへん意味深いものです。