資料1. 子育ち・子育てについて考える視点と課題

I. 標記についての関係審議会・機関・研究者等の主な見解

近年(過去1年を中心に)発表されたものの中から‥

A. 国レベル

96. 7 財政審議会「財政構造改革を考える-明るい未来を子どもたちへ-(報告)」
96. 7 中教審「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について(第一次答申)」
   学校五日制、「生きる力」の育成など
96.12 行政改革委員会「創意で造る新たな日本」:教育の規制緩和提起
97. 1 文部省「教育改革プログラム」
97. 6 中教審「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について(第二次答申)」
   学校制度の複線化、中高一貫教育など
98. 3 文部省児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議の提言3.
   中教審「今後の地方教育行政の在り方について(中間報告)」
98. 3 青少年対策推進会議「凶悪・粗暴な非行問題行動の対策について(中間整理)」
98. 3 中教審「新しい時代を拓く心を育てるために-次世代を育てる心を失う危機(中間報告)」
   「心の教育」論
98. 3 改正・学校教育法施行規則:学校外における学習の単位認定
98. 4 次代を担う青少年について考える有識者会議「次代を担う青少年のために」
98. 6 青少年問題審議会「問題行動への対策を中心とした青少年の育成方針について」
98. 6 中児審「今後の児童の健全育成に関する意見」
98. 6 中教審「新しい時代を拓く心を育てるために-次世代を育てる心を失う危機(答申)」
98. 6 文部省・厚生省申し合わせ「子どもと家庭を支援するための文部省・厚生省共同行動計画」
98. 7 青少年対策推進要綱(改正)
98. 7 教課審「幼稚園・小学校・中学校・高等学校・聾学校及び養護学校の教育課程基準の改善について(答申)」
98. 8 文部省生涯学習局「地域で子どもを育てよう緊急3ヶ年計画 = 全国子どもプラン」
98. 9 生涯学習審議会「社会の変化に対応した今後の社会教育行政の在り方について(答申)」
98. 9 中教審「今後の地方教育行政の在り方について(答申)」
98.12 少子化への対応を考える有識者会議「夢ある家庭づくりや子育てができる社会を築くために(提言)」
   子育ての社会的支援に関する国民合意、男女共同参画型社会の実現による少子化対策など


B. 都レベル

98. 2 都青少年問題協議会「最終答申」
98. 7 都児審の意見具申
98. 9 都福祉局・子どもの権利擁護システム検討委員会の報告
98.10 都・最近の思春期児童の行動(キレる子)現象に関する専門家会議の提言
98.11 都教育庁「児童・生徒の問題行動に関する教員会議」報告
99. 1 子どもの権利保障について(第23期東京都青少年問題協議会中間のまとめ)


C. 市町村レベル

98. 7 世田谷区青少年問題協議会提言


D. 白書・研究報告など

文部省「教育白書98」
厚生省「厚生白書98」
厚生省・国民栄養調査※孤食の増加問題等の指摘
都福祉局・社会福祉基礎調査※育児ストレス問題等の指摘
日本子どもを守る会「子ども白書98」
日本の教育改革をともに考える会「人間らしさあふれる教育の再生をめざして」教育改革提言(中間まとめ・経過報告)
筑波大学・茨城県警少年課共同調査※食習慣とキレる子現象の相関等指摘
東京少年少女センター編『別冊東京の子ども会少年団Vol.8東京の子ども会・少年団白書』、1999


E. 教育臨床の現場の声

98.11 第3回全国児童厚生員協議会 = 児童館・児童クラブ全国大会
98.12 第44回子どもを守る文化会議
99. 2 第9回がんばれ東京の児童館研究集会


F. その他

・白井愼・小木美代子・姥貝荘一編著『子どもの地域生活と社会教育』、学文社、1996
 … 社会教育研究全国集会「子ども」分科会20年の成果の集約と今後の展望。
・子どもの権利条約市民・NGO報告書をつくる会
 『国連子どもの権利委員会への市民・NGO報告書"豊かな国"日本社会における子ども期の喪失』、1997
・東京少年少女センター編著『山でみつけた!いのちと友だち!-心の窓をひらいた中学生夏の学校』新樹社、
・日本教育社会学会編『教育社会学研究第63号特集子どもを読みとく』、東洋館出版社、1998
 … 近年の子ども研究の動向や重要文献を知り得ます。
・(財)東京市町村自治調査会編『市町村とNPO』、1999
 … 行政とNPOとの協同の課題についての検討報告
・都・教員の人事考課に関する研究会報告「能力開発型教員評価制度への転換」、1999

 

II. Iにみる共通点


A. 子どもの現状における問題点 = 様々な問題行動の背景

1. 生活・精神的なゆとりなし。
2. 慢性的ストレス状態。
3. 生活習慣の未確立。
4. 規範意識の低下または欠落。
5. 人的交流・社会体験の不足。


B. 子育てをめぐる家庭・家族関係の在り方の問題点

1. 母親への育児負担の集中。
2. 親世代の規範意識の未確立。
3. 生活・精神的なゆとりなし。
4. 子育てに対する社会的な支援の不足。


C. 要支援の子ども

1. 中学(高校)生
2. 被虐待児
3. 不登校児
4. 乳幼児


D. 特に期待される子育ち・子育て支援施策

1. 学地連携:学校制度疲労
  → 学校スリム化、完全学校5日制への対応準備、
    地域の人的・物的資源の有効活用による教育内容の充実と多様な展開など。

2. 子どもの権利擁護・救済のための第三者(調整)機関の設置
  行政からの独立。子ども、親、教師等、各々の立場に配慮した調整的な
  (場合によっては、法律的な拘束力を伴う)問題解決。
  (どこかを一方的に責めても問題の解決にならない = みんな疲れています。
  また、大人にも子どもにも社会規範を欠いた者が増えている現状では、中立的な立場から、
  しかし、場合によっては法律的な強制力も背景に、関係者に「常識」を示したり、守らせたりしていく必要性。)

3. ユースワーカー(中高校生対応専門職員)の配置。現役職員の意識・能力向上。

4. 小規模民間子育てサークル支援:孤立した子育ての解消。

5. 父親の啓発:母親の育児負担軽減。

6. 休日保育、トワイライトステイ等、子育て家庭の実態に適合した子育て支援(行政)施策の推進。

7. 子どもに対する社会体験・人的交流の機会の積極的な提供
  ボランティア活動の振興、地域に於ける活動機会に関する情報提供 = 情報誌の発行等。

8. いじめや虐待されている子どもの発見と救済のネットワーク作り。

9. 特に、中学生、高校生のための「居場所」作り。
  児童館、公民館等の規制緩和(規則の見直し、開館時間・曜日の拡大など) = 「居場所」化。
  cf.「居場所」 = 人間として「安心と自信と自由」が保障される人間関係とそれが紡がれる場なり機会。

10. 子どもの意見表明と社会「参画」の保障と実現。
  cf. 参加 = 仲間になること・参画 = 計画にあずかること。
  子どもの権利条約の本質は、子どもに対する市民的権利の承認。子どもを社会の一員として扱うこと。
  その意志を現代社会を構成する市民 = 平等な政治参加の権利を有する者の意志として大人と対等に扱うこと。
  社会全体の意志決定と変革のための計画作りにあずかることを保障すること。

11. 環境ホルモン、乳幼児突然死症候群(SIDS)に関する啓発と指導