1998年改定の新指導要領では、特別活動の目標を「望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸張を図るとともに、集団や社会の一員としてよりよい生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てるとともに,人間としての生き方についての自覚を深め,自己を生かす能力を養う」(中・高校)としています。
また、総則では「児童に生きる力をはぐくむことを目指し,創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する中で,自ら学び自ら考える力の育成を図るとともに,基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り,個性を生かす教育の充実に努めなければならない」と学校教育の目標を提起しています。
そもそも「生きる力」とは、どういう力なのでしょうか。それは、「生活や社会の諸問題や認識し、主権者として、集団的・民主的に問題解決に取り組もうとする力」と言うことができます。
特別活動の「望ましい集団活動を通して」、「集団や社会の一員としてよりよい生活を築こうとする自主的,実践的な態度を育てた」子どもたちが、たいへんな困難を抱えた地域の中で、どのような集団・社会の一員として、どのような自主的な活動や実践を行なっているのかにしっかりと着目することは学校での教育実践の検証につながるだけでなく、地域の実践の中で育った子の力が、学校での実践にフィードバックするという点でとても重要な意味があるものです。
特別活動の視点を地域に当てはめるとすれば、地域における「望ましい集団活動」とは、縦につながった異年齢集団による遊びや文化活動や行事活動ということになるでしょう。また「集団の一員としての自覚を深め、協力してよりよい生活を築こうとする自主的、実践的な態度を育てる」というのは、年長の子は年長なりに、年下の子はそれなりに、互いに助け合いながら、それぞれの年代にあった役割を自主的に果たしていけるような活動の中で育つ課題を言うことができます。
こうした活動が地域にどのように育っているのかを教師は専門家としてよく見、分析し、子どもたちが地域でゆたかに発達できるようにサポートする必要があります。もちろん、地域の子育ての主役は教師ではありませんから、そのサポートは、地域で子どもたちの活動を支えている父母や青年リーダー、住民などを通じて行なわなければならないことは言うまでもありません。
さらに、「開かれた学校作り」の課題と結びつけて考えた時に、たとえば、「子どもまつり」のようなとりくみを「学校だけ」で行なうのではなく、地域との共同活動の中で子どもたち、教師たちの役割をあきらかにしながらとりくんでいくような実践とつなげていくことも考えられます。
また、総合的な学習の課題としても環境調査など地域の課題を地域住民とともに幅広く取り組んでいく上で、教室や学校の範囲を越えて広がる課題もあります。「特別活動」を狭い枠の中で考えるのではなく、指導要領の視点からしてもそのもっとも根幹となる目標を担う「活動」として幅広く考えていくことが大事です。