「共同の子育て」ということがよく言われます。実際、保育園や学童保育など、子ども時代のある時期、子どもたちの集団づくりと関わって親たちの子育て集団が形作られ、自分の子どもだけでなく、仲間の中で共に育ちあっていく場面がありますが、少年期から思春期へとつながるもっとも激動の十代の子どもたちをつないでいく子育て・子育ち運動は、ほとんどありません。
特にこの時期は、まさに「競争社会」とのジレンマが深くなる時期であり、「人のことを考えて時間を取られるより自分の勉強をしなさい」と言う価値観の中で子どもも親も手をつなぎづらくなっています。「子どもたちがたいへんだという危機意識は、いますべての人が共感できる。そこから出発して、学習しながら手をつなぐという段取りをていねいに行う『覚悟』がいま必要」(棚橋)になっているのです。
保育園の父母会作りに関わった飯田さんは、
「最初は父親は一人だった。だから、他の人にも声をかけ、3人になった。3人になったらすごく楽しくてなんでもできる。行事の準備でも当日のために時間もお金も(飲み会の)たくさん使うけど、それが、またみんなの楽しみになる。親が楽しい場をつくることで少しでも変わっていくのではないか。」
と言い、
「親の労働は確かにきつくなっている。最近は、自分の気持ちを表現する手段の一つとして電子メールなどの方法も使って、忙しい人ともやりとりしている。
保育園や学童保育の父母会が楽しみって言う思いがある。それは、少年団のときに子どもが中心だけど、指導員や父母やいろいろな人がいるということを実感としてよかったなと感じているからだと思う。」
と、手つなぎの楽しさと工夫、それを「苦」と感じずに「楽しみ」と思う「原点」を語ってくれました。こういった視点は、小学校のPTAに関わろうと思っている宿利さんや労働組合の青年部作りにがんばっている芝山さんにも共通しています。