さて、「地域の子どもたちが成長しあえるような集団を育てる」と言っても実際は雲をつかむような話で具体的にどこから足をふみだしていったらいいのかが問題です。「思いはあっても、なかなか現実のものにならない悩み」は、どの地域にも共通のものではないでしょうか。
東京には23区だけでも600ヶ所以上の学童保育があり2万人もの子どもたちが通い、その親たちの共通の課題として「卒会後」の問題があるにもかかわらず、一部のOB会なるものの取り組みを除いては、大きな運動になりきれていません。
などが精神的にも物理的にも保育園を作りだし学童保育を増設してきたときのような爆発的エネルギーとなってこない理由として考えられます。
第一の理由との関係では、単に日々の放課後の生活問題としてではなく、我が子がおかれている学校や地域の中で、どのような生きかたを子どもたちにさせていくのか、集団の中での成長をどう見るのかをきちんと押さえる必要があるということは、すでに今まで繰り返しのべてきたところです。
第二の理由も同様に今の子どもたちが置かれている状況は子どもたちの力だけで、もしくは、一親の力だけでのりこえられるものかどうかをはっきりさせていくことより一定の理解を得られるのでは、と思われます。
第三の理由については、前二つの課題をどれだけ自分のものとして論議し一人一人の確信とすることによって「よし、親のためにも、子どものためにも、ひとはだ脱ぐか!」という決意が生まれてくるのだと思います。仕事が忙しくなり、精神的にも時間的、肉体的に仕事への比重が高まる時にこそ子どもたちの変化を見逃さない親子関係がなお一層必要になっているのです。
子どもの発達段階からしても、急激に成長する時期にあり、思春期にむかって不安定になる時期です。身体の急成長と精神のアンバランス。大人に依存していた低学年時代の価値観と子ども社会の中で作られる価値観とのギャップなど低学年の時以上に子どもたちがいろいろな問題にぶつかって行きます。その中で人生観のようなものの芽も生まれてきます。
子どもたち自身に問題にしっかり立ち向かわせながら、人生の先輩として、押し付けでない「援助」「助言」を子どもたちに与えてやるためにも、改めて親たちが、地域の子どもが見えるような仲間関係を作りだして行くことがますます重要になっているのです。
先の父母会がそのあたりをどのように話し合って来たのかをひきつづき見てみたいと思います。
この9点を基本線にして、子どもたちにどのような活動をさせたいのかを出し合った。全員が4年生だったこともあり、当面、4年生の1年間の活動のイメージについて、出し合いながら話をすすめていった。
親が話し合った内容を受けて子どもたちに次のような提起をし、子どもたちの「約束」としていった。
子どもたちの中にもまだ卒会して以降の自分自身の生活のイメージがまだ持てない段階だった。子どもたちからは「そろばんを習って、3級をとるまでがんばりたい」とか「スイミングでがんばる」とか「塾に入って勉強をがんばる」「学校のクラブをしっかりやりたい。」「野球チームに入ってレギュラーをめざす」「学校の友だちと遊ぶ」などが4年生になってからの自分の目標として、出されてきた。
子どもたち一人一人の持っているこうした目標を励ましながら、「これからもみんなでいっしょに楽しいことができるように相談しながら進めていこう」という提起は、異存なく受け入れられていった。
子どもたちが話し合ったことは、
ともかく、「子ども会」作りへの第一歩をふみだした子どもたちに対し、父母も学童保育の父母会を卒業し、みんなで確認した内容そって「子ども会・父母会」づくりにとりかかっていった。
その中で、いちばん話し合ったことは子ども会の活動を通してどういう子どもに育てていくのかということだった。「思いやりのある子に」「あいさつがきちんとできるように」などいろいろな意見が出され、なんとか6つの項目にまとめることができた。
そして5月、いよいよ子ども会の正式発足を迎え、父母は父母総会、子どもたちは子ども総会を開き、親子でぜんざいを食べながら、「門出」を祝ったのだった。
いかがでしょうか。「高学年の子どもたちの生活を親子が力を合わせて作り上げていく」ための数ヶ月がかりのとりくみを紹介してみました。卒会にあたってどの親も持つ「不安」から出発して、「子ども会づくりへ」の長い歩み。
何でそこまでやる必要があるの?という思いもあるかもしれません。しかし、子どもたちが置かれている状況を考えた時に、ぜひ、どこの父母の会でも「不安の出し合い」にとどまらない話し合いの積み上げをお願いしたいのです。
子どもたちの人間的で豊かな成長のために!