6. 子どもたちと指導員

指導員と学習

  • いろいろな学習方法

     実践記録を書くだけでなく、それをもとにして、指導員が自主的に地域の中で、学習会をつくることが重要です。実践記録を書いたからには、実践討論をしてほしいし、そういった活動を盛んにする必要があると思います。

     指導員の学習会には、今まで話した実践討論会を含めて、大きく分けて3つあります。一つは、今まで言ってきた実践討論。そして二つ目が実践交流、お互いにこういうことをやったということを実践討論ほど深くは行なわないけど、それぞれの実践を話し合うことをいいます。それからもう一つが文献学習といい、子ども会・少年団の指導について書かれた本などを用いて行なうものです。現在多くの地域で、実践交流は行なわれていると思います。でもこれからは、それを一歩進めた形の学習をきちんともつ必要があるんではないかと思います。

  • みんなが学び合う場、指導員サークル

     そのためには、まず地域の中で学習する場をつくることが重要です。あなたの地域には指導員サークルがありますか。そこで実践討論などの学習会やお互いの子ども会・少年団実践の交流を行なっていますか。そういったことのできる指導員サークルや集まりをつくっていくことが必要なのです。

  • なぜ学ぶのか

     学習活動は何のためにするのでしょうか。「いい少年団にしたい」「いい指導員になりたい」など、いろいろあると思います。それは結局、指導員としての力を高めることだと思います。

     力量というものの中身は、指導の技術ということもあるけど、それ以上に子どもたちをとらえる視点をつくっていく、ということがあるんです。

     指導員のなかには、高校生の人もいると思います。その人たちはこの間まで中学生で子どもあつかいだったはずです。高校生指導員と20歳の指導員、もっと上の社会人の指導員、その人たちの子どもを見る目っていうのはそれぞれ違うはずです。どの世代が子どもに近いかといえば、高校生が一番です。それは強みではあるけど、だからといって「指導員は高校生でなければいけない」とはならないですね。なぜなら、子どもを見る視点が子ども会・少年団の活動も含めて、学校や会社や様々な経験の中で徐々につくられていく、高められていくものだからです。

 

子どもをとらえる視点を育てる

 誰でも最初は、ただ単に子ども会・少年団の子どもたちと遊ぶのが楽しいから、おもしろいからといった理由で指導員をはじめたはずです。しかし、それだけでは永く続いていかないと思います。子ども会・少年団というのは、子どもたちを中心において、たくさんの人が関わり、細く永くつき合っていけるのが一番だと思います。しかし、受験や仕事が忙しくなったとか、年齢があがるにしたがって、指導員を続けていくことが困難になる条件は増えていくに違いありません。それを乗り越えていくためにも、今の自分の立場で子どもたちにしてあげられること、一緒にできること、そういったものをきちんと考えるためにも学習はひつようなのです。

 その視点をつくっていくための学習を、実践討論を通してするのです。「あっこんな、こういう子どもの見方もあったんだな」そういった子どもの見方を学び、また子どもや子ども会・少年団に限らず普通の人間関係の中からもいろんなものの見方を学び、そうした中で、子どもに好かれたり、慕われたりするんじゃないかと思います。

 さらに、その中で子どもたちに対する思い「ああなってほしい」「こうなってほしい」が生まれてくるはずです。それが具体的には「ねらい」になったり「目標」になったり、されには指導員を続けていく意欲にもなっていくのです。そういったものを指導員は持っていてほしいと思います。

 子どもを見る視点ですが、その視点があっちにふらふら、こっちにふらふらしていたのでは困ります。ある定まった視点を持つことが必要です。それがあってこそ子どもたちを見続けていけるはずです。

みんなの実践を自分の力に

 一つの子ども会・少年団での実践は月1回とすると1年で12回。他の子ども会・少年団と交流すれば、その分2倍3倍と増えていきます。

 学習活動は、自分で実際に体験するわけではないけれど、文章や話の中で体験できるわけです。たくさんの実践を知ることは、やはり指導員にとって一番に必要なことだと思います。前向きに好奇心旺盛にやっていくことが大切です。がんばっていい指導員になってほしいと思います。いい指導員になるということは一人の人間としても成長するということなのだから…。■