東日本大震災にあたってのメッセージ

心のエネルギーを満たして何ができるか考え、行動しよう

 

2011年3月18日 NPO法人東京少年少女センター

 

 3月11日に起こった東北地方太平洋地震とその後の津波により、多くの人が住む家を失い、亡くなった方7000名近く、安否不明2万人以上と言うたいへんな被害にあいました。さらに福島第一・第二原子力発電所の事故による避難も加わり、40万人近い人たちが、避難所で不自由な生活を送っています。学校で地震にあったために、親や家族と出会えていない子どもたちもいます。お父さんやお母さんと離れ離れになってしまった子どもたちの不安は計り知れません。

 

 震源地から離れた東京でも、震度5の揺れで交通が麻痺し、深夜まで保育園や学校で保護者のお迎えを待っていた子が少なからずいました。卒業記念の遠足で遊園地に出かけていた子どもたちは、地震と地盤の液状化、降り始めた雨、つながらない電話と災難が重なり、親元に戻れたのは翌朝になってからでした。週が明けてからも、たびたびある余震の不安に重なり、「計画停電」の不安、一部の食料や生活用品、ガソリンなどの買いだめによる生活不安、原発の事故対応が効果的になっていないことによる放射能不安など、さまざまな心理的不安が増大しています。

 

 被害の大きさや避難所生活の深刻さを伝える番組を一日中流し続けるテレビ番組を見ている子どもたちの中には、体の不調を訴えたり、不安で夜眠れなくなったりする子どもも出ています。

乳幼児を持つ家庭の中には、昼間、お母さんだけで小さい子と過ごす不安に耐え切れずに、西日本や海外の実家や親戚に母子で避難する家庭も増えています。

 

 こういう時にこそ、地域のコミュニティーの中で、励ましあい、支えあい、心の負担を分け合う活動が必要なのですが、児童施設や文化施設の閉鎖、イベントの中止などが相次ぎ、人々が集って心を通わせることが難しくなっています。孤立させられた家族や個人が不確実な情報に惑わされ、ますます不安を掻き立てられていくという負のスパイラルが大都市東京の中で進行しているように感じられます。

 

 東京少年少女センターは、「地域から一人ぼっちの子どもをなくそう」を合言葉に30年以上にわたり、地域での子ども・親・青年の仲間作りの活動を続けてきました。夏のキャンプでは、猛烈な雷や台風の中での「避難生活」も体験してきました。さまざまな困難の中でも子どもたちや青年たちが集まり、文字通り身を寄せ合い、励ましあうことで、不安を跳ね返し、人間的な信頼を深めていくことを実感してきました。横になることも難しい避難場所で互いに寄りかかりあいながら歌った歌がみんなの心を暖めてくれました。

 

 阪神大震災のときも、今回の震災でも、友だちと出会い、遊び始めた子どもたちの笑顔が苦しい生活を送っている大人たちに勇気と希望を与えてくれていることは確かです。「こんなたいへんな時に子どもたちと遊ぶのか!」「何かあったらどうすんだ!」と言う子どもたちを心配する善意の声もあるかと思います。けれども、「こういうときだからこそ、子どもたちの心をケアする大切な活動が友だちと出会って遊ぶことなんだ」「友だちと遊びは子どもたちの命」「何かあったときこそ、身近な人たちがいっしょにいることで安全に支えあえる」と言うことに確信を持って周囲の人たちにも伝え、工夫して地域での活動を継続してほしいと願っています。

 

 どんなときにも「子どもたちが主人公」です。みんなで集い、遊ぶ中で心のエネルギーをしっかり満たして、被災地の子どもたちのために何ができるか相談し、行動していきましょう。東京少年少女センターでは、被災地への募金活動を推奨します。各地域の子ども会少年団単位で募金活動に取り組み、それぞれで、募金窓口に送金しましょう。