アウトドア講座:キャンプ生活の健康管理

食う・出す・寝るを大切に

 キャンプ生活をすすめるうえでたいせつなことは、ふだんの生活とちがう環境の中で健康管理をきちんと行なうことです。

 

 1泊2泊程度のキャンプならば、徹夜をしようが、一食や二食たべないですごそうが、なんとかなります。でも、3泊4日以上の長期のキャンピングや、体力的に未熟な小さな子どもたちを引き連れてのキャンプでは、健康管理は、重要な活動の一つです。

 

★ 健康管理はリーダーを中心に

 健康管理をするといっても、医師や看護師のような専門スタッフのいないキャンプ場で、しかもそうした専門家を同行できるようなチャンスはほとんどないのが普通です。そこで、リーダーが健康管理の意味をきちんとつかみ、参加者にアドバイスするとともに、参加者全員の活動の一つとして、健康管理をみんなで取り組むことがたいせつです。

 

★ 「食う」「寝る」「出す」の健康管理

 キャンプでの健康管理といっても、特別に難しいことはありません。消化のいい栄養化の高い食事を規則正しくとる。一日一回は排泄をし、便秘にならないように注意する。テントやバンガローなど、狭いスペースでの集団生活ではどうしても睡眠が浅くなるので、充分な睡眠時間と休養を確保する。

 

 「食う」「出す」「寝る」の三つが、健康管理の3大要素です。

 

 朝食、1時間30分。昼食、1時間。夕食、2時間30分。少なめに見積もっても1日のうち5時間は、食事づくりとそれにかかわる活動に費やされます。睡眠も低学年では1日10時間、高学年以上でも最低8時間の睡眠時間を確保することが必要です。

 

 一日のうち、13時間から15時間にもおよぶ自分の生命の健康維持のための活動。家庭にいるときとはちがって、それを子どもたちひとり一人が、自分たちの力でやり切らなければならないという点で、キャンプは「子どもの自律と自覚を促す」うえで大きな意味を持っています。しかも、そうした活動を集団で取り組むことによって、おたがいに支えあうことの意味をつかみ、他人の健康をきづかう優しさを身につけることができます。

★ 大切なことをきちんと伝える努力を

 キャンプのこうした教育的な利点は、キャンプ生活そのもののなかに含まれているものの、それがそのまま自然に子どもたちのものになるとは限りません。長時間におよぶ食事づくりの活動は、ともすれば、仕事の分担の仕方やすすめかた(サボル)などのことで、子どもたちの間にトラブルや摩擦を起こす原因にもなります。

 

 特に、日ごろ家の手伝いをしていない子どもたちにとっては、「みんなのためにやらなければならない仕事」を苦痛に感じることさえあります。作る過程はともかく、次の食事づくりをスムーズにすすめるために欠かせない片づけに関しては、ますます、不団結が拡大していくのではないかと思うような事態が広がることもあります。

 

 おそ寝おそ起きの、都会型の夜行性生活リズムが体にに染み込んでいる子どもたちにとっては、翌日のために早く寝ることも、明るい日ざしのなかでの生活を充実させるために早く起きることも、そのために、騒ぎたい気持を押えて夜はほかの子に迷惑をかけないためにも静かにし、といった原則的な一つ一つのことが、四角四面の規則づくめの理不尽なことのように感じられるという傾向も持っています。

 

 子どもたちが自分の体を意識し、ほかの子のからだの健康を守ることの大切さも感じながら、共同の生活を作り上げるようにするためには、プログラミングの段階からどういう生活リズムを自分たちで作り上げるのかについて徹底して話し合うことがどうしても必要になるのです。

 

 子どもたちの健康という問題は、精神的なものも大きく絡んでいますが、肉体的にはかなり客観的なものです。体温が高いか、低いか、なんらかの自覚症状があるか、便通は規則正しく行なわれているか、など一定その子の健康を計る客観的な物差しが存在します。

 

 したがって、リーダーはその客観的な物差しが自分の健康にはたしている役割について、子どもたちも理解できるように話をしてあげることがたいせつです。